重度の肺高血圧を合併した脚気心の1例

症例は,60歳代女性.極端な偏食でるい痩著明.下腿浮腫と労作時息切れにて初回入院.左室収縮正常であったが右心不全を認め,高拍出性心不全に伴う肺高血圧と思われた.脚気心を疑いチアミン投与を行ったところ症状は改善した.1年後に全身倦怠感で救急受診.著明な肺高血圧を認め右室は拡大し左室を圧排し,乳酸アシドーシスを呈してショックバイタルであった.右心カテーテルでは,肺動脈楔入圧の上昇を伴わない肺高血圧を認め,低心拍出状態で体血管抵抗は上昇していた.低心機能のためドブタミンを開始したところ,血圧はさらに低下し状態が悪化したため救命処置を要した.病歴から衝心脚気を疑い,チアミンを投与したところ病態は劇的に...

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Veröffentlicht in:心臓 2020/05/15, Vol.52(5), pp.530-538
Hauptverfasser: 石原, 優, 外山, 裕子, 宮井, 翔平, 山田, 桂嗣, 萬谷, 薫, 津島, 翔, 宮崎, 晋一郎, 寒川, 睦子, 瀧波, 裕之, 多田, 典弘, 末澤, 知聡, 松原, 一志
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は,60歳代女性.極端な偏食でるい痩著明.下腿浮腫と労作時息切れにて初回入院.左室収縮正常であったが右心不全を認め,高拍出性心不全に伴う肺高血圧と思われた.脚気心を疑いチアミン投与を行ったところ症状は改善した.1年後に全身倦怠感で救急受診.著明な肺高血圧を認め右室は拡大し左室を圧排し,乳酸アシドーシスを呈してショックバイタルであった.右心カテーテルでは,肺動脈楔入圧の上昇を伴わない肺高血圧を認め,低心拍出状態で体血管抵抗は上昇していた.低心機能のためドブタミンを開始したところ,血圧はさらに低下し状態が悪化したため救命処置を要した.病歴から衝心脚気を疑い,チアミンを投与したところ病態は劇的に回復した.脚気心は,ビタミンB1欠乏により心不全をきたす疾患であり,末梢血管抵抗の低下と静脈還流増大による高拍出性心不全を特徴とする.稀に,脚気心に併発した肺高血圧症が報告されている.今回,2度の入院で異なる血行動態を示した重症肺高血圧を合併した脚気心の1例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.52.530