心筋へのリンパ球浸潤を認めたバセドウ病合併のうっ血性心不全の1例

症例は47歳男性.既往はアトピー性皮膚炎以外に特記すべき事項.受診1カ月前からの労作時呼吸困難,両下腿浮腫を主訴に来院し,うっ血性心不全のため入院した.心臓超音波検査では左室のびまん性壁運動低下を認め,左室駆出率は45%程度であった.血液検査よりバセドウ病の合併が示唆された.抗甲状腺薬,β遮断薬,利尿薬による治療を開始し,甲状腺機能,心不全症状は改善した.心臓MRIは心尖部を中心に心外膜側優位に遅延造影を認めた.心筋生検所見では心筋細胞への近接効果を伴うリンパ球浸潤を認めた.バセドウ病を合併した左室収縮能低下を伴う心不全症例の原因は,頻脈性心筋症,自己免疫性心筋炎,甲状腺ホルモンによる心筋障害...

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Veröffentlicht in:心臓 2020/04/15, Vol.52(4), pp.438-443
Hauptverfasser: 石橋, 峻, 中村, 智弘, 矢那瀬, 智信, 原口, 裕美子, 伊藤, みゆき, 松本, 充也, 石田, 岳史
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は47歳男性.既往はアトピー性皮膚炎以外に特記すべき事項.受診1カ月前からの労作時呼吸困難,両下腿浮腫を主訴に来院し,うっ血性心不全のため入院した.心臓超音波検査では左室のびまん性壁運動低下を認め,左室駆出率は45%程度であった.血液検査よりバセドウ病の合併が示唆された.抗甲状腺薬,β遮断薬,利尿薬による治療を開始し,甲状腺機能,心不全症状は改善した.心臓MRIは心尖部を中心に心外膜側優位に遅延造影を認めた.心筋生検所見では心筋細胞への近接効果を伴うリンパ球浸潤を認めた.バセドウ病を合併した左室収縮能低下を伴う心不全症例の原因は,頻脈性心筋症,自己免疫性心筋炎,甲状腺ホルモンによる心筋障害などがあげられる.本症例は様々な要因の関与が疑われたが,心筋生検にて心筋周囲へのリンパ球の浸潤が確認され,リンパ球性心筋炎の可能性が示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.52.438