肺動脈性肺高血圧を伴う心房中隔欠損の術後管理に肺血管拡張薬の多剤併用療法が有効であった1成人例
緒言:近年,肺動脈性肺高血圧の治療戦略として,多剤併用療法の有効性が報告されている.今回我々は周術期の管理においてセレキシパグを含む多剤併用療法が有効であった肺動脈性肺高血圧を伴う心房中隔欠損の成人例を経験した. 症例:48歳,男性.労作時呼吸困難を主訴に受診し,心臓超音波検査で心房中隔欠損,肺高血圧と診断された.心臓カテーテル検査における一酸化窒素負荷試験で肺血管抵抗に大きな変化を認めなかったが心拍出量の上昇を認め,肺高血圧治療薬による根治術および術後内科的治療の適応と判断した.術前よりアンブリセンタンを開始し,1カ月後に心内修復術を施行した.術後肺動脈性肺高血圧に対してタダラフィル,アンブ...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2020/03/15, Vol.52(3), pp.338-343 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 緒言:近年,肺動脈性肺高血圧の治療戦略として,多剤併用療法の有効性が報告されている.今回我々は周術期の管理においてセレキシパグを含む多剤併用療法が有効であった肺動脈性肺高血圧を伴う心房中隔欠損の成人例を経験した. 症例:48歳,男性.労作時呼吸困難を主訴に受診し,心臓超音波検査で心房中隔欠損,肺高血圧と診断された.心臓カテーテル検査における一酸化窒素負荷試験で肺血管抵抗に大きな変化を認めなかったが心拍出量の上昇を認め,肺高血圧治療薬による根治術および術後内科的治療の適応と判断した.術前よりアンブリセンタンを開始し,1カ月後に心内修復術を施行した.術後肺動脈性肺高血圧に対してタダラフィル,アンブリセンタンの投与を開始した.しかし,顔面紅潮が出現し,アンブリセンタンを中止したところ,BNPの上昇と体血圧の低下を認めた.セレキシパグを開始,漸増したところ,BNPは低下傾向となり,体血圧は安定化した.その後の心臓カテーテル検査で,左室拡張末期容積の拡大と肺動脈圧の低下,心拍出量の改善を認めた.現在外来追跡中であるが,大きな副作用はなく,経過は良好である. 結語:周術期における肺動脈性肺高血圧の管理は,多剤併用が望ましく,セレキシパグの併用も有効であると考えられる. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.52.338 |