冠動脈形成術施行時の造影剤が原因と考えられるKounis症候群

Kounis症候群とは胸痛とアレルギー反応が併発する“allergic angina”としてKounisらが報告し,アレルギーと急性冠症候群が同時発症する病態と定義されている.症例報告は散見されるが,広くは認知されていないため見過ごされている症例も多いと考えられている.症例は70歳,男性.主訴は胸部圧迫感.既往に関節リウマチ,ANCA関連腎炎,間質性肺炎があり,プレドニゾロン5 mg,ミゾリビン150 mgを内服していた.X日15時,労作時に胸部圧迫感があり18時に救急外来を独歩で受診.心電図は以前と比較して変化はなかったが,心筋トロポニンTの上昇を認めたため不安定狭心症を疑い入院とした.X+...

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Veröffentlicht in:心臓 2020/03/15, Vol.52(3), pp.329-335
Hauptverfasser: 小松, 稔典, 宮下, 裕介, 大熊, ゆか里, 金井, 将史, 清水, 邦彦, 阿部, 直之, 臼井, 達也, 宮澤, 泉, 戸塚, 信之, 吉岡, 二郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:Kounis症候群とは胸痛とアレルギー反応が併発する“allergic angina”としてKounisらが報告し,アレルギーと急性冠症候群が同時発症する病態と定義されている.症例報告は散見されるが,広くは認知されていないため見過ごされている症例も多いと考えられている.症例は70歳,男性.主訴は胸部圧迫感.既往に関節リウマチ,ANCA関連腎炎,間質性肺炎があり,プレドニゾロン5 mg,ミゾリビン150 mgを内服していた.X日15時,労作時に胸部圧迫感があり18時に救急外来を独歩で受診.心電図は以前と比較して変化はなかったが,心筋トロポニンTの上昇を認めたため不安定狭心症を疑い入院とした.X+1日,CAGにてRCAに有意狭窄を認めたためPCIを施行.PCI中にバイタルの変化はないが全身に紅斑を認め,掻痒感を訴えたため造影剤アレルギーを疑いエピネフリン,メチルプレドニゾロン,d-クロルフェニラミンマレイン酸塩を静注し症状は改善した.しかし帰室30分後,胸痛を訴え心電図にてST上昇を認めたため,再度CAGを施行.Stent内に透亮像を認め,急性stent血栓症と判断し血栓吸引を施行したが改善は不十分でありstent in stentとしTIMI3を得た.造影するたびに冠攣縮を認め,ショックをきたしたためニコランジルを投与しつつIABPを挿入.X+2日にIABP抜去.以降の経過は問題なく,X+9日に独歩退院となった.Kounis症候群の症例報告は増えているが,その対応は確立されていない.本症例の対応について反省と文献的考察を踏まえて報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.52.329