経胸壁心エコー図検査にて乳頭筋感染による急性僧帽弁逆流が疑われた感染性心内膜炎の1例
感染性心内膜炎は,弁膜疾患や先天性心疾患などの心疾患を有する例に多くみられる.今回我々は僧帽弁尖には疣腫を認めず,乳頭筋感染によって急性僧帽弁逆流を生じたと思われる感染性心内膜炎の1例を経験したので報告する. 症例は60歳代女性.発熱と倦怠感を自覚し,その後背部痛の出現と嘔吐のため当院へ救急搬送され入院.血液培養検査でメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出され,感染性心内膜炎の鑑別のため心エコー図検査を施行したが明らかな疣腫は指摘できず,軽度僧帽弁逆流を認めるのみだった.翌日,収縮期雑音の明らかな増強があり心エコー図の再検査を施行.前日指摘されなかった僧帽弁前尖の逸脱を認め,僧帽弁逆流は重症とな...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2019/12/15, Vol.51(12), pp.1276-1282 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 感染性心内膜炎は,弁膜疾患や先天性心疾患などの心疾患を有する例に多くみられる.今回我々は僧帽弁尖には疣腫を認めず,乳頭筋感染によって急性僧帽弁逆流を生じたと思われる感染性心内膜炎の1例を経験したので報告する. 症例は60歳代女性.発熱と倦怠感を自覚し,その後背部痛の出現と嘔吐のため当院へ救急搬送され入院.血液培養検査でメチシリン感受性黄色ブドウ球菌が検出され,感染性心内膜炎の鑑別のため心エコー図検査を施行したが明らかな疣腫は指摘できず,軽度僧帽弁逆流を認めるのみだった.翌日,収縮期雑音の明らかな増強があり心エコー図の再検査を施行.前日指摘されなかった僧帽弁前尖の逸脱を認め,僧帽弁逆流は重症となっていた.弁尖には前日同様に疣腫を指摘できなかったが,前乳頭筋の輝度上昇と腱索の断裂を認め乳頭筋感染による感染性心内膜炎が疑われた.抗生剤治療が行われていたが,第7病日に状態が急変し永眠された.剖検が行われたが,乳頭筋に膿瘍形成を伴う細菌感染所見があり腱索の断裂を認めるも,僧帽弁尖には疣腫を認めなかった.感染性心内膜炎は弁自体への感染が多いとされているが,本症例は弁尖に疣腫を認めず乳頭筋感染という非常に稀な症例であった.心エコー図検査では弁以外の部位も詳細に観察すべきと考える. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.51.1276 |