経皮的血管形成術(PTA)と直接経口抗凝固薬(DOAC)が有効であったPaget-Schroetter症候群の1例

症例は30代男性.主訴は左上肢腫脹.既往歴,家族歴に特記事項.職業は工場の機械作業.現病歴は2017年6月初旬に左上肢の腫脹,発赤が出現したため2日後に当院を受診,造影CTで左鎖骨下静脈内血栓を認めたため入院となった.血栓性素因はなくPaget-Schroetter症候群と診断,入院1日目からヘパリン持続点滴(15,000単位/日)および入院2日目からウロキナーゼ静注(240,000単位/日)を行うも改善を認めなかった.入院8日目に経皮的血管形成術(PTA)を施行,左鎖骨下静脈は肋鎖間隙部で閉塞しており,豊富な側副血行路を認めた.肺塞栓症の予防のため,上大静脈に一時的静脈フィルターを留置して,...

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Veröffentlicht in:心臓 2019/09/15, Vol.51(9), pp.967-973
Hauptverfasser: 宮, 有佑, 丸山, 美知郎, 江口, 裕也, 竹内, 一喬, 山口, 鋼正, 江本, 賢二, 向井, 勇介, 松浦, 伸太郎, 近田, 明男, 音羽, 勘一, 臼田, 和生
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は30代男性.主訴は左上肢腫脹.既往歴,家族歴に特記事項.職業は工場の機械作業.現病歴は2017年6月初旬に左上肢の腫脹,発赤が出現したため2日後に当院を受診,造影CTで左鎖骨下静脈内血栓を認めたため入院となった.血栓性素因はなくPaget-Schroetter症候群と診断,入院1日目からヘパリン持続点滴(15,000単位/日)および入院2日目からウロキナーゼ静注(240,000単位/日)を行うも改善を認めなかった.入院8日目に経皮的血管形成術(PTA)を施行,左鎖骨下静脈は肋鎖間隙部で閉塞しており,豊富な側副血行路を認めた.肺塞栓症の予防のため,上大静脈に一時的静脈フィルターを留置して,カテーテルによる血栓吸引およびバルーン拡張により血流は良好となり自覚症状は改善した.血栓の病理所見は血小板凝集,フィブリン網に一部線維芽細胞がみられ器質化血栓であった.仕事時の機械作業に伴う慢性的な鎖骨下静脈への機械的圧迫や静脈内皮障害が発症の誘因と考えられた.術後にリバーロキサバン15 mg/日を投与して症状の再発なく退院した.6カ月後の造影CTで左鎖骨下静脈内血栓は認めなかった.Paget-Schroetter症候群に対して急性期の血栓吸引に続くPTAと直接経口抗凝固薬(DOAC)が有効であった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.51.967