急性心筋炎亜急性期に生じた機能性僧帽弁逆流症を伴う難治性心不全に対して,僧帽弁置換術が著効した1例
心筋炎は心筋を主座とした炎症性疾患である.軽症例や無症候例も決して少なくないと考えられており,正確な発症率や死亡率に関しては不明である.心筋炎の多くは感冒症状に続発するウイルス性心筋炎とされているが,急性期を乗り切ればその予後は良好とされる.一方,機能性僧帽弁逆流症による難治性心不全に対する僧帽弁置換術の有用性に関しては,依然として議論の余地があり,個々の症例に応じて治療方針を決定しているのが現状である.患者は通院歴のない60歳女性.当院入院12日前から感冒様症状を認めていた.当院入院2日前に心原性ショックの診断で,前医で入院加療を受けるも改善なく転院搬送となった.心臓超音波検査では心機能低下...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2019/08/15, Vol.51(8), pp.806-813 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 心筋炎は心筋を主座とした炎症性疾患である.軽症例や無症候例も決して少なくないと考えられており,正確な発症率や死亡率に関しては不明である.心筋炎の多くは感冒症状に続発するウイルス性心筋炎とされているが,急性期を乗り切ればその予後は良好とされる.一方,機能性僧帽弁逆流症による難治性心不全に対する僧帽弁置換術の有用性に関しては,依然として議論の余地があり,個々の症例に応じて治療方針を決定しているのが現状である.患者は通院歴のない60歳女性.当院入院12日前から感冒様症状を認めていた.当院入院2日前に心原性ショックの診断で,前医で入院加療を受けるも改善なく転院搬送となった.心臓超音波検査では心機能低下が顕著であった.冠動脈造影で有意狭窄を認めず,大動脈内バルーンパンピング(IABP)導入後に血行動態の安定化を認めた.心筋生検ではリンパ球性心筋炎を示唆する所見であった.経時的に心拍出量の改善を認め,入院7日目にIABPを離脱した.しかしその後に心不全は徐々に悪化し,心臓超音波検査にて重度の機能性僧帽弁逆流症を認めた.ハートチームカンファレンスにて外科治療の適応と判断し,入院15日目に僧帽弁置換術を施行した.術後経過は良好であり,リハビリを経て入院40日目に自宅退院となった.急性心筋炎の亜急性期に生じた機能性僧帽弁逆流症に対して,僧帽弁置換術が著効した稀有な症例を経験したので,若干の考察を交えて報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.51.806 |