肺胞出血に下肢動脈閉塞を合併した1例

症例は,80歳代の男性,左下肢の痛みを主訴に搬送された.胸部X線写真で右全肺野の浸潤影を認めたため,肺炎の診断で入院となった.その後,肺炎ではなく,右肺胞出血であることが判明した.入院3日目,左下肢痛と左足の黒色変化を認め,急性下肢動脈閉塞と診断した.緊急カテーテル検査を実施し,左総腸骨動脈の完全閉塞を認めた.血栓吸引とバルーンでの拡張を実施し,後脛骨動脈付近までの血流再開が得られた.血栓溶解薬を投与し,入院4日目,造影を実施したところ,左浅大腿動脈の再閉塞を認め,血栓吸引とバルーンでの拡張を再度実施した.同様の閉塞を入院6日目にも認め,同様の処置をした.入院8日目,右前胸部から右上腕の急激な...

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Veröffentlicht in:心臓 2019/07/15, Vol.51(7), pp.706-712
Hauptverfasser: 出島, 徹, 森田, 有紀子, 高村, 武, 漢那, 雅彦, 中山, 未奈, 岡島, 裕一, 花島, 陽平, 圓谷, 紘乃, 堀口, 順子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は,80歳代の男性,左下肢の痛みを主訴に搬送された.胸部X線写真で右全肺野の浸潤影を認めたため,肺炎の診断で入院となった.その後,肺炎ではなく,右肺胞出血であることが判明した.入院3日目,左下肢痛と左足の黒色変化を認め,急性下肢動脈閉塞と診断した.緊急カテーテル検査を実施し,左総腸骨動脈の完全閉塞を認めた.血栓吸引とバルーンでの拡張を実施し,後脛骨動脈付近までの血流再開が得られた.血栓溶解薬を投与し,入院4日目,造影を実施したところ,左浅大腿動脈の再閉塞を認め,血栓吸引とバルーンでの拡張を再度実施した.同様の閉塞を入院6日目にも認め,同様の処置をした.入院8日目,右前胸部から右上腕の急激な腫脹に伴い,ショック状態となった.急速輸血等で,状態が持ち直した.ショックの原因は,入院4日目に実施したカテーテルでの,右上腕の穿刺部からの出血と判断し,用手圧迫を実施したが止血できず,カテーテルで,バルーンを用いた止血と,ステントグラフトの挿入さらに止血剤の局所注射で止血完了した.入院9日目,左肺胞出血も出現し,死亡となった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.51.706