左室駆出率の保たれた心不全で発症し全身性ALアミロイドーシスの診断に至った1例

症例は68歳女性.4年前より手根管症候群を指摘されていた.9カ月前に近医にて両側胸水を指摘された.心臓超音波検査では左室駆出率は保たれていたが,左室壁厚の軽度肥厚を認めた.BNP値は198 pg/mLと上昇しており,拡張機能障害を主体とした心不全として利尿薬を投与され,胸水の消失を得て経過観察となった.1カ月前より尿蛋白陽性,低アルブミン血症の進行を認めるようになり,胸水の増大および労作時呼吸困難の増悪のため入院となった.入院時のBNP値は433 pg/mLと著明に上昇しており,心臓超音波検査では左室壁厚13 mmと全周性に輝度上昇と肥大を認め,左室駆出率は48%と低下していた.尿Bence...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:心臓 2019/07/15, Vol.51(7), pp.692-697
Hauptverfasser: 堀内, 恒平, 世良, 英子, 山本, 泰士, 中本, 敬, 溝手, 勇, 大谷, 朋仁, 水野, 裕八, 彦惣, 俊吾, 山口, 修, 坂田, 泰史
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:症例は68歳女性.4年前より手根管症候群を指摘されていた.9カ月前に近医にて両側胸水を指摘された.心臓超音波検査では左室駆出率は保たれていたが,左室壁厚の軽度肥厚を認めた.BNP値は198 pg/mLと上昇しており,拡張機能障害を主体とした心不全として利尿薬を投与され,胸水の消失を得て経過観察となった.1カ月前より尿蛋白陽性,低アルブミン血症の進行を認めるようになり,胸水の増大および労作時呼吸困難の増悪のため入院となった.入院時のBNP値は433 pg/mLと著明に上昇しており,心臓超音波検査では左室壁厚13 mmと全周性に輝度上昇と肥大を認め,左室駆出率は48%と低下していた.尿Bence Jones蛋白陽性で,心筋生検にてアミロイド沈着が確認され,ALアミロイドーシスの診断に至った.左室駆出率の保たれた心不全症例において一定の割合でアミロイドーシスが含まれていると報告されており,早期から疑う必要性があったと考えられた1例を経験した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.51.692