心房内血栓と鑑別が困難であったが,複数の栄養血管が確認され,左房後壁発生の粘液腫と診断された1例

心臓粘液腫は心臓腫瘍の約30%を占め,左房粘液腫は心臓粘液種の約80%を占める.好発部位は卵円窩(心房中隔)であり,左房後壁発生は,報告例はあるものの非常に稀であり,また栄養血管が画像上複数明らかになることも非常にめずらしい.我々は左房後壁全体に付着した巨大な心臓粘液腫に対し,術中栄養血管の処理も含めて切除を行った. 症例は82歳女性,労作時呼吸困難を主訴に循環器クリニックを受診した.精査の結果,左房後壁に30 mm大の腫瘤を認め当科紹介となった.非典型的な部位であるが,経食道心エコーで腫瘍と診断し,冠動脈造影にて腫瘍の栄養血管が複数確認された. 手術は腫瘍を心内膜を含めて削る形で切除し,栄養...

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Veröffentlicht in:心臓 2019/03/15, Vol.51(3), pp.326-332
Hauptverfasser: 望月, 大輔, 笠原, 勝彦, 川﨑, 暁生, 伊藤, 敦彦, 杉下, 靖之, 田部井, 史子, 山下, 尋史, 岡, 輝明
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:心臓粘液腫は心臓腫瘍の約30%を占め,左房粘液腫は心臓粘液種の約80%を占める.好発部位は卵円窩(心房中隔)であり,左房後壁発生は,報告例はあるものの非常に稀であり,また栄養血管が画像上複数明らかになることも非常にめずらしい.我々は左房後壁全体に付着した巨大な心臓粘液腫に対し,術中栄養血管の処理も含めて切除を行った. 症例は82歳女性,労作時呼吸困難を主訴に循環器クリニックを受診した.精査の結果,左房後壁に30 mm大の腫瘤を認め当科紹介となった.非典型的な部位であるが,経食道心エコーで腫瘍と診断し,冠動脈造影にて腫瘍の栄養血管が複数確認された. 手術は腫瘍を心内膜を含めて削る形で切除し,栄養血管を結紮した.術後の心臓CTでは腫瘍および栄養血管の消失を確認し,病理組織学的に粘液腫と診断された.後壁全体に付着するような心臓粘液腫の報告は非常に稀であり,切除方法に関しては統一した見解はいまだない.また複数の栄養血管が画像上同定されることも非常に稀である.心房壁を含めた一括切除が困難な粘液腫に関しては,術前に栄養血管を同定し,切離することが術後の心不全および再発予防に重要と考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.51.326