化膿性膝関節炎を合併した侵襲性肺炎球菌感染症による化膿性心外膜炎の1例
侵襲性肺炎球菌感染症とは,肺炎球菌感染症の中でも,肺炎球菌が心嚢液など本来無菌の部位から検出される重症感染をさす.今回,基礎疾患のない成人女性における侵襲性肺炎球菌感染症による化膿性心外膜炎の1例を経験したので報告する.症例は40歳代女性.胸背部痛,左下肢痛を訴え当院へ救急搬送された.12誘導心電図で広範な誘導でST上昇を認め,心膜炎疑いとして当科入院.高度の炎症反応所見および左膝の腫脹を認め,左膝関節液を穿刺したところ,膿汁が採取され,化膿性膝関節炎の診断となった.心嚢液の貯留も認めたため,第3病日に全身麻酔下に左膝関節の洗浄,心嚢穿刺を行った.心嚢液も膿性であり,化膿性心外膜炎の診断となり...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2019/01/15, Vol.51(1), pp.44-48 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 侵襲性肺炎球菌感染症とは,肺炎球菌感染症の中でも,肺炎球菌が心嚢液など本来無菌の部位から検出される重症感染をさす.今回,基礎疾患のない成人女性における侵襲性肺炎球菌感染症による化膿性心外膜炎の1例を経験したので報告する.症例は40歳代女性.胸背部痛,左下肢痛を訴え当院へ救急搬送された.12誘導心電図で広範な誘導でST上昇を認め,心膜炎疑いとして当科入院.高度の炎症反応所見および左膝の腫脹を認め,左膝関節液を穿刺したところ,膿汁が採取され,化膿性膝関節炎の診断となった.心嚢液の貯留も認めたため,第3病日に全身麻酔下に左膝関節の洗浄,心嚢穿刺を行った.心嚢液も膿性であり,化膿性心外膜炎の診断となり心膜開窓術に切り替え,ドレナージを行った.採取した関節液,血液,心嚢液すべての培養から肺炎球菌が検出され,侵襲性肺炎球菌感染症と診断された.術後は,抗生剤投与と併せて収縮性心膜炎予防のため定期的にウロキナーゼにて心嚢内の洗浄を行った.その後炎症反応は改善し,退院後も収縮性心膜炎に移行することなく経過している. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.51.44 |