開心術時の前縦隔リンパ節生検により確定診断に至った巨大左心室瘤を伴う心臓サルコイドーシスの1例
症例は73歳女性.呼吸困難を主訴に来院した.心電図にて持続性心室頻拍を認め,心エコーでは左室基部後下壁から側壁に巨大な左心室瘤を認めた.心臓サルコイドーシスの心臓所見主徴候4項目を満たしたが,左室心内膜心筋生検では肉芽腫組織を証明し得ず,また他臓器病変もないことから,サルコイドーシスの確定診断には至らなかった.心室頻拍に対してカテーテル焼灼術,植込み型除細動器植込み術を施行し,症状なく経過していたが,5カ月後に心不全が悪化した.新たに重度の僧帽弁閉鎖不全症が出現しており,心不全治療後に左心室瘤切除術および僧帽弁置換術を施行した.手術時の前縦隔リンパ節生検にて非乾酪性類上皮肉芽腫を認め,サルコイ...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2018/09/15, Vol.50(9), pp.1015-1023 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は73歳女性.呼吸困難を主訴に来院した.心電図にて持続性心室頻拍を認め,心エコーでは左室基部後下壁から側壁に巨大な左心室瘤を認めた.心臓サルコイドーシスの心臓所見主徴候4項目を満たしたが,左室心内膜心筋生検では肉芽腫組織を証明し得ず,また他臓器病変もないことから,サルコイドーシスの確定診断には至らなかった.心室頻拍に対してカテーテル焼灼術,植込み型除細動器植込み術を施行し,症状なく経過していたが,5カ月後に心不全が悪化した.新たに重度の僧帽弁閉鎖不全症が出現しており,心不全治療後に左心室瘤切除術および僧帽弁置換術を施行した.手術時の前縦隔リンパ節生検にて非乾酪性類上皮肉芽腫を認め,サルコイドーシスの確定診断に至った.心臓サルコイドーシスの場合,特徴的臨床所見があるにもかかわらず,心筋生検の陽性診断率が低く,他臓器病変を検索しても陽性所見を得られず,確定診断に至らない症例が報告されている.本症例は開心術時にリンパ節生検を行うことで確定診断に至ることができたが,心臓限局性サルコイドーシスと考えられている症例の中には,従来の診断基準の枠組みでは確定診断に辿り着けない症例が多いことを認識する必要がある. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.50.1015 |