完全房室ブロックに対し化学療法が著効したびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫心臓浸潤の1例

症例は82歳女性.某年10月前医への定期受診時に黒色便,貧血を認め,小腸のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)と診断された.同月中旬,化学療法目的で当院へ紹介された.同月下旬から両下腿浮腫,労作時呼吸困難が出現し,当院救急外来を受診した.来院時完全房室ブロック,心臓超音波検査で心房中隔腫瘤,心嚢液貯留を認めた.DLBCLの心臓浸潤による伝導障害を考え,同日体外式ペースメーカを施行した.第11病日に心タンポナーデを合併し,心嚢穿刺を施行した.細胞診でDLBCLの心臓浸潤と診断された.第13病日より化学療法を開始し,第22病日には腫瘤性病変が縮小し,心嚢液は消失した.同日よりI度房室ブロ...

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Veröffentlicht in:心臓 2018/07/15, Vol.50(7), pp.767-774
Hauptverfasser: 八木, 文子, 村﨑, 理史, 長田, 晃裕, 山田, 雄一郎, 栗原, 朋宏, 日台, 裕子, 三谷, 健一, 秋山, 秀樹, 上田, 哲郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は82歳女性.某年10月前医への定期受診時に黒色便,貧血を認め,小腸のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)と診断された.同月中旬,化学療法目的で当院へ紹介された.同月下旬から両下腿浮腫,労作時呼吸困難が出現し,当院救急外来を受診した.来院時完全房室ブロック,心臓超音波検査で心房中隔腫瘤,心嚢液貯留を認めた.DLBCLの心臓浸潤による伝導障害を考え,同日体外式ペースメーカを施行した.第11病日に心タンポナーデを合併し,心嚢穿刺を施行した.細胞診でDLBCLの心臓浸潤と診断された.第13病日より化学療法を開始し,第22病日には腫瘤性病変が縮小し,心嚢液は消失した.同日よりI度房室ブロックに改善し,ペースメーカから離脱,計8コースの化学療法により完全寛解に至った.悪性リンパ腫の心臓浸潤は8.7~24%と報告されているが,これらの報告は剖検によるものであり生前の検討は乏しい.生前に悪性リンパ腫の心臓浸潤と診断され,刺激伝導系障害が可逆的なうちに化学療法で完全寛解に至った稀な症例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.50.767