心室頻拍をきたした心尖部瘤を伴う中部閉塞性肥大型心筋症の1例

症例は40代女性.小児期より心電図にてST異常を指摘されていたが特に精査はされず,胸部症状や失神をきたしたことはなかった.X-3年より動悸と眩暈を生じるようになり,低K血症を契機とした多発性心室性期外収縮や心室頻拍を認めた.諸検査により,左室内圧較差を伴う中部閉塞性肥大型心筋症と診断され,左室心尖部瘤を合併していた.心室性不整脈はいずれも右脚ブロック型で上方軸を呈し,瘤化した左室心尖部が起源と考えられた.K製剤や抗不整脈薬の内服下でも心室頻拍を生じ,徐々に発作の頻度も増加したため,X年4月植込み型除細動器を移植した.持続性心室頻拍はベラパミル,リドカイン,シベンゾリン,プロカインアミドの静注に...

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Veröffentlicht in:心臓 2018/07/15, Vol.50(7), pp.761-766
Hauptverfasser: 清水, 邦彦, 臼井, 達也, 小松, 稔典, 金井, 将史, 浦澤, 延幸, 宮下, 裕介, 宮澤, 泉, 戸塚, 信之, 吉岡, 二郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は40代女性.小児期より心電図にてST異常を指摘されていたが特に精査はされず,胸部症状や失神をきたしたことはなかった.X-3年より動悸と眩暈を生じるようになり,低K血症を契機とした多発性心室性期外収縮や心室頻拍を認めた.諸検査により,左室内圧較差を伴う中部閉塞性肥大型心筋症と診断され,左室心尖部瘤を合併していた.心室性不整脈はいずれも右脚ブロック型で上方軸を呈し,瘤化した左室心尖部が起源と考えられた.K製剤や抗不整脈薬の内服下でも心室頻拍を生じ,徐々に発作の頻度も増加したため,X年4月植込み型除細動器を移植した.持続性心室頻拍はベラパミル,リドカイン,シベンゾリン,プロカインアミドの静注により速やかに停止したが,同系統の内服薬や抗頻拍ペーシングでの抑制は困難であり同年5月カテーテルアブレーションを行った.手技中に心室頻拍は誘発困難であったが,洞調律下に左室のsubstrate mappingを行い,心尖部瘤内における低電位領域境界部にてdelayed potentialを認め,pace mapが近似した部位にて通電を行った.退院後に非持続性心室頻拍が認められアミオダロンの内服を追加したところ,心室頻拍は再発せずに経過した.肥大型心筋症に伴う左室心尖部瘤を起源とした心室頻拍に対して,植込み型除細動器移植術後にカテーテルアブレーションとアミオダロンとの併用によって抑制が得られた症例を経験し,文献的考察も含め報告した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.50.761