下壁心筋梗塞に合併した心室中隔基部穿孔に対して待機的な手術で良好な経過をたどった1例

心室中隔穿孔は緊急手術を要する急性心筋梗塞の予後不良な合併症である. 症例は79歳男性.来院2週間前に胸痛,10日前から呼吸困難を自覚し,うっ血性心不全の診断で入院した.心電図では下壁誘導で陰性T波を認め,心臓超音波検査で下壁の壁運動低下,心基部に心室中隔穿孔を認めた.上記所見より,下壁心筋梗塞に合併した心室中隔基部穿孔が疑われたが,循環動態は安定しており待機的な外科的治療を選択した.第5病日の冠動脈造影検査で右冠動脈近位部の完全閉塞を診断し,第12病日に心室中隔穿孔閉鎖術を施行した.その後良好な経過で第25病日に独歩退院した. 下壁心筋梗塞後の心室中隔基部穿孔にもかかわらず,待機的な手術で良...

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Veröffentlicht in:心臓 2018/05/15, Vol.50(5), pp.531-536
Hauptverfasser: 冲永, 紗百合, 関本, 輝雄, 吉竹, 功央一, 野口, 薫, 宗次, 裕美, 横田, 裕之, 佐藤, 貴俊, 近藤, 武志, 柴田, 正行, 松下, 弘, 華山, 直二, 並木, 淳郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:心室中隔穿孔は緊急手術を要する急性心筋梗塞の予後不良な合併症である. 症例は79歳男性.来院2週間前に胸痛,10日前から呼吸困難を自覚し,うっ血性心不全の診断で入院した.心電図では下壁誘導で陰性T波を認め,心臓超音波検査で下壁の壁運動低下,心基部に心室中隔穿孔を認めた.上記所見より,下壁心筋梗塞に合併した心室中隔基部穿孔が疑われたが,循環動態は安定しており待機的な外科的治療を選択した.第5病日の冠動脈造影検査で右冠動脈近位部の完全閉塞を診断し,第12病日に心室中隔穿孔閉鎖術を施行した.その後良好な経過で第25病日に独歩退院した. 下壁心筋梗塞後の心室中隔基部穿孔にもかかわらず,待機的な手術で良好な経過をたどった稀な症例であり考察を加え報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.50.531