消化管出血患者が受けていた抗血栓療法の妥当性
背景:心血管系疾患に対する抗血栓療法においては血栓性イベント発症リスクと出血性イベント発症リスクのバランスを考慮する必要がある.出血性合併症として消化管出血は日常経験することが多く,死亡リスクを上昇させることが報告されている.抗血栓薬を内服していた消化管出血症例の特徴と施行されていた抗血栓療法および妥当性について調査した. 方法:2015年1月から2016年6月までに消化管出血で当院救急外来を受診した症例を対象とした.抗血栓薬内服群と非内服群を比較,内服群での抗血栓薬の種類および内服に至った背景となる疾患について確認した. 結果:消化管出血患者268例のうち96例(36%)が少なくとも1剤の抗...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2017/12/15, Vol.49(12), pp.1227-1233 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 背景:心血管系疾患に対する抗血栓療法においては血栓性イベント発症リスクと出血性イベント発症リスクのバランスを考慮する必要がある.出血性合併症として消化管出血は日常経験することが多く,死亡リスクを上昇させることが報告されている.抗血栓薬を内服していた消化管出血症例の特徴と施行されていた抗血栓療法および妥当性について調査した. 方法:2015年1月から2016年6月までに消化管出血で当院救急外来を受診した症例を対象とした.抗血栓薬内服群と非内服群を比較,内服群での抗血栓薬の種類および内服に至った背景となる疾患について確認した. 結果:消化管出血患者268例のうち96例(36%)が少なくとも1剤の抗血栓薬を内服していた.抗血栓薬内服群は非内服群に比較して高齢であり,心房細動・心筋梗塞既往・冠動脈形成術既往・脳梗塞既往が有意に多かった.抗血小板薬は73例(27%)に,抗凝固薬は27例(10%)に投与されていた.抗凝固薬を内服していた症例はすべて血栓塞栓症予防を目的とする背景疾患を有していたが,抗血小板薬を内服していた症例のうち16例は心血管疾患二次予防を目的とする背景疾患を同定できず,その多くをアスピリンが占めていた. 結論:消化管出血による緊急入院患者において,出血性リスクの増大にもかかわらず心血管疾患二次予防を目的としない抗血小板薬の投与が約2割の症例で施行されていた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.49.1227 |