急性重症僧帽弁閉鎖不全症を発症したAbiotrophia defectivaによる感染性心内膜炎の1例
Abiotrophia defectivaはNutritionally Variant Streptococcus(以下NVS)に属し,他の連鎖球菌と異なりその特殊な栄養要求性のため,血液培養で検出されても感染性心内膜炎(以下IE)の起因菌として見逃されやすい.NVSは,欧米ではViridans streptococciを起因菌とするIEのうち5~6%を占めると報告されているが,本邦での報告例は極めて少ない.本稿では,Abiotrophia defectivaを起因菌とするIEを発症した1症例について報告する.症例は28歳女性で,2カ月前に歯肉炎のため歯科治療を受け,1カ月前から発熱が続いてい...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2017/11/15, Vol.49(11), pp.1178-1183 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | Abiotrophia defectivaはNutritionally Variant Streptococcus(以下NVS)に属し,他の連鎖球菌と異なりその特殊な栄養要求性のため,血液培養で検出されても感染性心内膜炎(以下IE)の起因菌として見逃されやすい.NVSは,欧米ではViridans streptococciを起因菌とするIEのうち5~6%を占めると報告されているが,本邦での報告例は極めて少ない.本稿では,Abiotrophia defectivaを起因菌とするIEを発症した1症例について報告する.症例は28歳女性で,2カ月前に歯肉炎のため歯科治療を受け,1カ月前から発熱が続いていた.4日前から労作時呼吸困難と夜間起坐呼吸を自覚し始め,症状が増悪するため救急外来を受診した.心臓超音波所見から,IEによる急性重症僧帽弁閉鎖不全症と診断した.胸部X線写真にてすでに著明な肺うっ血を呈していたため,緊急僧帽弁置換術を施行した.血液培養でグラム陽性球桿菌を検出したが,5%ヒツジ血液寒天培地で菌の発育を認めなかった.塩酸システインを含むブルセラHK寒天培地に変更してAbiotrophia defectivaを同定した.本菌は,口腔内などの常在菌であり一般的に抗生剤感受性も良好である.一般的な血液寒天培地で起因菌を検出できない場合は,早期に培地の変更を考慮することが重要である. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.49.1178 |