血胸を合併した早期ステント血栓症の1例

症例は,69歳,男性.2016年5月にST上昇型急性前壁心筋梗塞の診断で入院となった.緊急心臓カテーテル検査で左前下行枝#6の完全閉塞を認め,血栓吸引とステント留置を実施し,血行再建を得た.ピークCKは6763 IU/Lであり,ピークCK-MBは412 IU/Lであった.第6病日に前胸部痛を訴え,その後意識消失し,脈拍触知不能となった.心肺蘇生を行い心拍は再開したが,血圧56/38 mmHg,脈拍120/分のショックとなり,蘇生後の心電図胸部誘導でSTが上昇していた.速やかにSTは減高したが,左側胸部痛あり,胸部X線写真で左肺野全域の透過性低下と胸部CTで左胸水を認めた.CT室入室時から再度前...

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Veröffentlicht in:心臓 2017/09/15, Vol.49(9), pp.968-973
Hauptverfasser: 出島, 徹, 森田, 有紀子, 花島, 陽平, 漢那, 雅彦, 中山, 未奈, 岡島, 裕一, 堀口, 順子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は,69歳,男性.2016年5月にST上昇型急性前壁心筋梗塞の診断で入院となった.緊急心臓カテーテル検査で左前下行枝#6の完全閉塞を認め,血栓吸引とステント留置を実施し,血行再建を得た.ピークCKは6763 IU/Lであり,ピークCK-MBは412 IU/Lであった.第6病日に前胸部痛を訴え,その後意識消失し,脈拍触知不能となった.心肺蘇生を行い心拍は再開したが,血圧56/38 mmHg,脈拍120/分のショックとなり,蘇生後の心電図胸部誘導でSTが上昇していた.速やかにSTは減高したが,左側胸部痛あり,胸部X線写真で左肺野全域の透過性低下と胸部CTで左胸水を認めた.CT室入室時から再度前胸部痛あり,ICU帰室後の心電図胸部誘導でSTが再度上昇していた.冠動脈造影でステント閉塞を確認し,血栓吸引とステント内のバルーン拡張で冠血流の再開を得た.翌日(第7病日),側胸部痛が増悪したため,胸部CTを再検したところ胸水増多による縦隔偏移を認め,胸腔ドレーンを挿入し血液の排出を確認した.第22病日,肺の拡張と再出血がないことを確認しドレナージチューブを抜去し,第25病日に退院となった.過去にステント血栓症と血胸の同時発症の報告はなく,教育的症例と思われた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.49.968