P-19 ワルファリンによる抗凝固療法下の慢性血栓塞栓症性肺高血圧症患者における出血および血栓症再発リスク

「背景」慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は肺循環障害としての肺高血圧症としての側面と急性肺血栓塞栓症や深部静脈血栓症を背景とした血栓症としての側面を併せ持った疾患であり, 永続的な抗凝固療法が治療の前提となっている. 経口抗凝固薬としてワルファリンが広く用いられているが, 出血および血栓症の再発リスクについて評価した報告は乏しい. 本邦CTEPH患者におけるワルファリン継続投与の出血リスクと血栓予防効果について明らかにすることを目的とした. 「方法」千葉大学医学部附属病院に定期受診しているCTEPH患者55名を対象とし, 2015年3月から2016年2月までの1年間の診療記録, 検査デー...

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Veröffentlicht in:心臓 2017-07, Vol.49 (7), p.782-782
Hauptverfasser: 重城喬行, 田邉信宏, 坂尾誠一郎, 杉浦寿彦, 関根亜由美, 西村倫太郎, 須田理香, 内藤亮, 三輪秀樹, 山本慶子, 佐々木茜, 松村茜弥, 江間亮吾, 笠井大, 加藤史照, 巽浩一郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「背景」慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は肺循環障害としての肺高血圧症としての側面と急性肺血栓塞栓症や深部静脈血栓症を背景とした血栓症としての側面を併せ持った疾患であり, 永続的な抗凝固療法が治療の前提となっている. 経口抗凝固薬としてワルファリンが広く用いられているが, 出血および血栓症の再発リスクについて評価した報告は乏しい. 本邦CTEPH患者におけるワルファリン継続投与の出血リスクと血栓予防効果について明らかにすることを目的とした. 「方法」千葉大学医学部附属病院に定期受診しているCTEPH患者55名を対象とし, 2015年3月から2016年2月までの1年間の診療記録, 検査データを後ろ向きに解析した. ヘモグロビン値の大きな低下や輸血を要する大出血, 頭蓋内出血, 関節内出血などをmajor bleeding, 血痰や皮下出血などのmajor bleedingに至らない出血をnon-major bleedingと定義し, 両者を合わせたclinical relevant bleedingの発生頻度を検討した. PT-INR値からthe therapeutic range (TTR)を計算し, 抗凝固療法のコントロール状況を検討した. 「結果」55名(男性9名, 女性46名, 平均年齢63.2歳)のCTEPH患者のTTR平均値は84.6±18.6%であった. 55例中10例(18.2%)でclinical relevant bleedingが出現し, うち5例(9.1%)でmajor bleedingが出現した. PT-INR値が治療域を超えることがない症例群でも36例中6例(16.7%)の症例でclinical relevant bleedingが出現した. 血栓症の再発および右心不全などの臨床悪化をきたした症例はなかった. 「結論」CTEPH患者に対するワルファリンによる抗凝固療法は高い抗血栓効果を示す一方, 比較的高い出血リスクを示す.
ISSN:0586-4488