P-8 子宮動脈塞栓術中に発症した急性肺塞栓症の1例

症例は30歳台女性. 発症1か月前に挙児し, 産褥期検診にて胎盤遺残を指摘され, 子宮内容清掃術目的に当院産婦人科に入院となった. 子宮内容物は血流豊富で, 子宮内容清掃術に先行してゼラチンスポンジによる子宮動脈塞栓術を施行した. 施行約1時間後よりSpO2の低下を認め, 約3時間後に動悸, 呼吸困難感を自覚し, SpO2が90%以下となった. 12誘導心電図にて洞性頻脈, 右軸偏位を認め, 経胸壁心エコー検査では, TRPG 35 mmHg, 左室は拡張早期扁平化を呈し, 急性期肺塞栓症と診断した. 原因として左子宮動脈-左卵巣静脈短絡を介したゼラチンスポンジによる多発塞栓が疑われた. ゼラ...

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Veröffentlicht in:心臓 2017-07, Vol.49 (7), p.766-766
Hauptverfasser: 相田健次, 江尻純哉, 登尾薫, 吉開友羽子, 山根啓一郎, 吉野直樹, 木下美菜子, 川戸充徳, 永澤浩志
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は30歳台女性. 発症1か月前に挙児し, 産褥期検診にて胎盤遺残を指摘され, 子宮内容清掃術目的に当院産婦人科に入院となった. 子宮内容物は血流豊富で, 子宮内容清掃術に先行してゼラチンスポンジによる子宮動脈塞栓術を施行した. 施行約1時間後よりSpO2の低下を認め, 約3時間後に動悸, 呼吸困難感を自覚し, SpO2が90%以下となった. 12誘導心電図にて洞性頻脈, 右軸偏位を認め, 経胸壁心エコー検査では, TRPG 35 mmHg, 左室は拡張早期扁平化を呈し, 急性期肺塞栓症と診断した. 原因として左子宮動脈-左卵巣静脈短絡を介したゼラチンスポンジによる多発塞栓が疑われた. ゼラチンスポンジは1か月に液化吸収される物質であり, 肺塞栓症に伴い上昇した肺動脈圧は自然軽快すると考え, 対症療法にて経過観察を行う方針とした. 第4病日に酸素需要は消失し, 第5病日に退院となった. 動脈塞栓術に起因する急性肺塞栓症は非常に稀であり, 文献的考察を加え報告する.
ISSN:0586-4488