P-3 整形外科術前に下大静脈フィルターを留置したものの術後に肺塞栓症を発症し救命し得なかった1剖検例

「症例」72歳男性 「現病歴」自動車運転中の交通事故で受傷し紹介医へ救急搬送された. 脛骨近位端関節内骨折の診断で, 同日緊急で創外固定術と筋膜切開を行い, 後日, 観血的手術を行う予定であった. 第8病日, D-ダイマー高値が持続していたため下肢静脈エコーを行うと, 右浅大腿静脈近位部に血栓を指摘した. ヘパリン持続静注を開始し, 第13病日, 下肢静脈エコーを再検したところ血栓の増大傾向を認めた. 下大静脈フィルター併用での手術が望ましいと判断し, 当院へ転院となった. 「来院後経過」第16病日, 下大静脈フィルターを留置し, 翌日骨折に対する観血的手術を施行した. 第21病日, リハビリ...

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Veröffentlicht in:心臓 2017-07, Vol.49 (7), p.753-753
Hauptverfasser: 水野智文, 中濱一, 石井晶子, 岡明宏, 河村浩平, 小倉聡一郎, 藤原敬士, 荒井靖典, 藤田慎平, 寺西仁, 末丸俊二, 寺坂律子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「症例」72歳男性 「現病歴」自動車運転中の交通事故で受傷し紹介医へ救急搬送された. 脛骨近位端関節内骨折の診断で, 同日緊急で創外固定術と筋膜切開を行い, 後日, 観血的手術を行う予定であった. 第8病日, D-ダイマー高値が持続していたため下肢静脈エコーを行うと, 右浅大腿静脈近位部に血栓を指摘した. ヘパリン持続静注を開始し, 第13病日, 下肢静脈エコーを再検したところ血栓の増大傾向を認めた. 下大静脈フィルター併用での手術が望ましいと判断し, 当院へ転院となった. 「来院後経過」第16病日, 下大静脈フィルターを留置し, 翌日骨折に対する観血的手術を施行した. 第21病日, リハビリ室で立位(術後初回リハビリ)をとった直後より気分不良と冷汗を自覚し, 収縮期血圧は60mmHg台とショックバイタルであった. 集中治療室へ入室後に心肺停止状態となり, 循環器内科コールとなった. 立位直後の発症であり, 心エコーで著明なD-shapeを認めたことから, 肺塞栓症が強く疑われた. カテーテル室で下大静脈フィルターの抜去を行い, 並行して経皮的心肺補助(PCPS)を開始した. 肺動脈造影では両側肺動脈に血栓を認め肺塞栓症と診断した. モンテプラーゼを肺動脈へ動注し, 大量補液, カテコラミン投与を行ったが, 循環動態の維持が困難で同日中に死亡確認した. 「まとめ」術前に下大静脈フィルターを挿入していたにも関わらず肺塞栓症を生じ, 救命し得なかった症例となってしまった. 剖検結果と若干の文献的考察を交えて報告する.
ISSN:0586-4488