心タンポナーデにて発症した冠動脈瘻に伴う動脈瘤破裂に対しコイル塞栓術を行った1例
症例は74歳女性.X年1月下旬突然眼前暗黒感,嘔気を自覚.気分不良が持続したため近医を受診.CT上心嚢水貯留を認めたことから当科紹介.心臓超音波検査上壁運動異常などはなかったが,著明な心嚢水貯留による心タンポナーデの状態であり,緊急心嚢ドレナージを施行.血性心嚢水が排泄され循環動態は安定した.造影CT検査では,左冠動脈近傍に壁の石灰化を伴う最大径27 mmの腫瘤があり,左前下行枝近位部から肺動脈本幹へ連続する瘻管を認め,腫瘤との連続性が確認されたことから,冠動脈瘻に合併した動脈瘤が破裂し心タンポナーデをきたしたと診断した.瘤内は血栓化していたが再破裂の危険性も高く瘤閉鎖が必要と判断.外科的治療...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2017/06/15, Vol.49(6), pp.575-580 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は74歳女性.X年1月下旬突然眼前暗黒感,嘔気を自覚.気分不良が持続したため近医を受診.CT上心嚢水貯留を認めたことから当科紹介.心臓超音波検査上壁運動異常などはなかったが,著明な心嚢水貯留による心タンポナーデの状態であり,緊急心嚢ドレナージを施行.血性心嚢水が排泄され循環動態は安定した.造影CT検査では,左冠動脈近傍に壁の石灰化を伴う最大径27 mmの腫瘤があり,左前下行枝近位部から肺動脈本幹へ連続する瘻管を認め,腫瘤との連続性が確認されたことから,冠動脈瘻に合併した動脈瘤が破裂し心タンポナーデをきたしたと診断した.瘤内は血栓化していたが再破裂の危険性も高く瘤閉鎖が必要と判断.外科的治療も検討したが,造影上輸入血管が1本しか確認できなかったこと,輸入血管は細く瘤内開口部の同定が困難であることが予想されたこと,瘤内は血栓化しており血流がほとんどみられなかったことなどからコイル塞栓術を選択した.コイルを瘤内から中枢側瘻管にかけて留置し,瘻管および瘤への血流消失を確認し終了とした.冠動脈肺動脈瘻は比較的稀な疾患である.動脈瘤の破裂を伴う例はさらに少なく報告も限られている.一般的に外科的治療が第一選択ではあるが,循環動態が安定し,冠動脈瘻・動脈瘤を形成する血管群の形態などによっては,コイル塞栓術を考慮してもよいと考える. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.49.575 |