A-12 急性肺塞栓症と鑑別が困難であった慢性血栓塞栓性肺高血圧症急性増悪
症例は69歳男性. 突然の呼吸困難を自覚し翌日近医受診した. 単純CT検査で右心系の拡大と肺動脈拡張, UCGにてTPG 50mmHgと肺高血圧を認めたため, 急性肺塞栓症疑いにて同日当院紹介となった. 造影CT検査では両側肺動脈に棒状浮遊血栓と壁在血栓を認め, さらに気管支動脈拡張(5mm)を認めた. 血行動態は安定していたが(血圧128/97mmHg, 脈拍92回), 酸素化は不良であり, O2カニューラ5LでPaO2 64mmHgだったためリザーバーマスク10LとしSpO2 98%となった. 入院しヘパリンによる抗凝固療法を開始した. 気管支動脈拡張による肺出血の危険性を考慮し血栓溶解療...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2016-07, Vol.48 (7), p.833-833 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は69歳男性. 突然の呼吸困難を自覚し翌日近医受診した. 単純CT検査で右心系の拡大と肺動脈拡張, UCGにてTPG 50mmHgと肺高血圧を認めたため, 急性肺塞栓症疑いにて同日当院紹介となった. 造影CT検査では両側肺動脈に棒状浮遊血栓と壁在血栓を認め, さらに気管支動脈拡張(5mm)を認めた. 血行動態は安定していたが(血圧128/97mmHg, 脈拍92回), 酸素化は不良であり, O2カニューラ5LでPaO2 64mmHgだったためリザーバーマスク10LとしSpO2 98%となった. 入院しヘパリンによる抗凝固療法を開始した. 気管支動脈拡張による肺出血の危険性を考慮し血栓溶解療法は行わなかった. 翌日, UCG所見に変化なく酸素化も改善しなかった. このため呼吸器内科と心臓血管外科で治療方針を協議した. 気管支動脈拡張からCTEPH急性増悪は完全には否定できなかったが, 状態の改善を認めなかったため急性肺塞栓症として肺動脈血栓除去術を施行することにした. 術前IVC filterを留置, 右心カテーテル検査で, PAP63/25(39)mmHg, PVR 836 dynes.s.cm-5だった. 人工心肺確立し心停止下に右主肺動脈を切開したところ, 肺動脈壁肥厚および大量の逆流血を認めた. 肺動脈ベントを挿入, 切開を延長して観察したところ器質化血栓を認めた. このため術式を肺動脈内膜摘除術に変更し, 超低体温として循環停止下に内膜摘除を行った. Jamieson分類type Iであった. 気管支動脈からの逆流血が多かったので, 左右主気管支のレベルで気管支動脈をクリップした. 人工心肺離脱時, 遺残肺高血圧を認めなかった. 翌日に抜管, 合併症を認めず術後10日目に退院となった. 1カ月後の右心カテーテル検査では, 22/5(11)mmHg, PVR 90 dynes.s.cm-5, PaO2 74.8mmHg(room air)と著明に改善していた. 急性肺塞栓症とCTEPH急性増悪は画像上鑑別が困難な場合がある. CTEPHでみられる画像所見を有する場合には, CTEPH急性増悪の可能性を考慮にいれ治療を行う必要がある. |
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ISSN: | 0586-4488 |