ヘパリン再投与直後に2型HITによる急激な血栓形成を呈した急性心不全の1例

症例は65歳男性. 広範囲前壁心筋梗塞に伴う急性心不全を発症し救急搬送された. 緊急冠動脈造影で左前下行枝#7. に閉塞を認め, 直ちに大動脈内バルーンパンピング (Intra-aortic balloon pumping ; IABP) を挿入し, 経皮的冠動脈形成術 (Percutaneous Coronary Intervention ; PCI) を施行し心不全加療を行った. 心不全は改善し, 第7病日にIABPを離脱した. ヘパリンはPCI時に1万単位ボーラス投与し, その後IABPを離脱するまで1万単位/日を継続投与した. しかし第9病日に嘔吐, 敗血症性ショックを認め, エンドト...

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Veröffentlicht in:心臓 2015, Vol.47(11), pp.1303-1308
Hauptverfasser: 冠野, 昂太郎, 西山, 浩彦, 湯浅, 可奈子, 瀬川, 貴嗣, 木下, 晴之, 市川, 織絵, 松田, 守弘, 田村, 律, 川本, 俊治
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は65歳男性. 広範囲前壁心筋梗塞に伴う急性心不全を発症し救急搬送された. 緊急冠動脈造影で左前下行枝#7. に閉塞を認め, 直ちに大動脈内バルーンパンピング (Intra-aortic balloon pumping ; IABP) を挿入し, 経皮的冠動脈形成術 (Percutaneous Coronary Intervention ; PCI) を施行し心不全加療を行った. 心不全は改善し, 第7病日にIABPを離脱した. ヘパリンはPCI時に1万単位ボーラス投与し, その後IABPを離脱するまで1万単位/日を継続投与した. しかし第9病日に嘔吐, 敗血症性ショックを認め, エンドトキシン吸着療法を施行したところ, ヘパリン投与後10分で急激な回路内血栓閉塞を生じた. 直ちにヘパリンを中止し, アルガトロバンに変更し加療を行ったが, 多発性脳梗塞を合併した. 抗HIT抗体陽性であり, ヘパリン再投与により2型ヘパリン起因性血小板減少症 (Heparin-induced thrombocytopenia ; HIT) を発症し, 急激な血栓形成を呈したものと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.1303