巨大肝嚢胞がショックと左室流出路狭窄増悪の一因となった非対称性心室中隔肥大の1例
症例は87歳, 女性. 慢性心不全に対してジギタリスが投与されていた. 嘔気・心窩部痛のため食事摂取が困難となり当院に搬送された. 来院時, 収縮期血圧60mmHg台のショック状態であり, ジギタリス中毒と脱水を疑い, 補液と昇圧薬を投与したが血圧は上昇しなかった. CTにて巨大肝嚢胞による下大静脈と左室の圧排, および, 左室流出路の狭小化を認めた. 心臓超音波検査で非対称性心室中隔肥大を認め, 連続波ドプラ法によって81mmHgの左室流出路圧較差を認めた. 左室流出路狭窄がショックの増悪因子であると考え, 緊急肝嚢胞ドレナージを行った. 穿刺30分後には左室流出路圧較差は16mmHgまで低...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2015, Vol.47(10), pp.1225-1231 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は87歳, 女性. 慢性心不全に対してジギタリスが投与されていた. 嘔気・心窩部痛のため食事摂取が困難となり当院に搬送された. 来院時, 収縮期血圧60mmHg台のショック状態であり, ジギタリス中毒と脱水を疑い, 補液と昇圧薬を投与したが血圧は上昇しなかった. CTにて巨大肝嚢胞による下大静脈と左室の圧排, および, 左室流出路の狭小化を認めた. 心臓超音波検査で非対称性心室中隔肥大を認め, 連続波ドプラ法によって81mmHgの左室流出路圧較差を認めた. 左室流出路狭窄がショックの増悪因子であると考え, 緊急肝嚢胞ドレナージを行った. 穿刺30分後には左室流出路圧較差は16mmHgまで低下し, 循環動態は安定した. その後, 肝嚢胞の再拡大防止目的に嚢胞内にミノサイクリンを注入した. 退院時の左室流出路圧較差は6mmHgであった. 本症例では脱水のみならず, 巨大肝嚢胞による心臓の左側変位と下大静脈の圧排が左室流出路狭窄を増悪させ, ショックの増悪に関連したと考えられた. 非対称性心室中隔肥大を合併し循環動態に与える肝嚢胞に対しては積極的な治療が必要である. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.47.1225 |