虚血性心疾患と鑑別を要し, ボルテゾミブ・デキサメタゾン併用療法で心不全の改善をみた心アミロイドーシス

症例は60歳女性. 貧血の精査目的に施行された骨髄穿刺で多発性骨髄腫の診断を得て後日結果説明予定であったが, 動悸と呼吸困難を主訴に当院へ救急搬送された. 来院時の心電図でaVRのST上昇および前胸部誘導のST低下・陰性T波を認め, 急性冠症候群と診断し同日緊急冠動脈造影検査を施行した. しかし, 冠動脈に器質性狭窄は認めず, 左室造影でびまん性壁運動低下を認めたため, 高血圧性左室肥大または多発性骨髄腫に伴う貧血進行による急性心不全と診断し, 心不全の標準的治療を開始した. 集中治療室での初期治療への反応は良好であり, 第3病日に一般病棟に転棟したが, 同日心室細動による院内心肺停止をきたし...

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Veröffentlicht in:心臓 2015, Vol.47(10), pp.1189-1195
Hauptverfasser: 丹羽, 智, 藤野, 晋, 河合, 泰一, 藤岡, 研佐, 馬渕, 智仁, 野路, 善博, 山口, 正人, 青山, 隆彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は60歳女性. 貧血の精査目的に施行された骨髄穿刺で多発性骨髄腫の診断を得て後日結果説明予定であったが, 動悸と呼吸困難を主訴に当院へ救急搬送された. 来院時の心電図でaVRのST上昇および前胸部誘導のST低下・陰性T波を認め, 急性冠症候群と診断し同日緊急冠動脈造影検査を施行した. しかし, 冠動脈に器質性狭窄は認めず, 左室造影でびまん性壁運動低下を認めたため, 高血圧性左室肥大または多発性骨髄腫に伴う貧血進行による急性心不全と診断し, 心不全の標準的治療を開始した. 集中治療室での初期治療への反応は良好であり, 第3病日に一般病棟に転棟したが, 同日心室細動による院内心肺停止をきたした. 標準的蘇生術に反応し神経学的後遺症を残すことなく回復し, 後日植込み型除細動器移植術を施行した. 直腸生検でALアミロイドの沈着を認め, 症候性多発性骨髄腫および心アミロイドーシスによる急性心不全・心室細動と診断した. ボルテゾミブ・デキサメタゾン併用療法で血液学的効果とともに心不全の改善も認めた. 冠動脈が正常であるが, ST低下やQT延長など多様な心電図変化を呈し, その心電図変化の原因を特定できない心不全症例では, 頻度は少ないものの心アミロイドーシスを鑑別に挙げることが必要である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.1189