完全房室ブロックを合併したたこつぼ心筋症の1例

たこつぼ心筋症と刺激伝導系障害の関連は明らかでないが, その合併頻度は約5%であるとの報告もある. 今回われわれは, たこつぼ心筋症に完全房室ブロックを合併した症例を経験した.  症例は82歳女性. 過去に2 : 1房室ブロックを指摘されていたが, 症状なく経過していた. 今回増悪する呼吸困難を主訴に救急搬送された. 12誘導心電図で胸部誘導のST上昇と2 : 1房室ブロックを認め, 胸部X線で肺うっ血像を認めた. 緊急冠動脈造影を行ったところ冠動脈に有意狭窄は認めなかった. 左室造影でたこつぼ様左室壁運動異常を認め, たこつぼ心筋症として矛盾しない所見であった. 心不全管理の目的に一時的ペー...

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Veröffentlicht in:心臓 2015, Vol.47(9), pp.1127-1132
Hauptverfasser: 森, 大, 田中, 博之, 辻, 正樹, 大野, 睦記, 巴里, 彰吾, 西村, 睦弘, 浅野, 奏, 岩波, 裕史, 永田, 健一郎, 磯貝, 俊明, 植松, 庄子, 二川, 圭介
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:たこつぼ心筋症と刺激伝導系障害の関連は明らかでないが, その合併頻度は約5%であるとの報告もある. 今回われわれは, たこつぼ心筋症に完全房室ブロックを合併した症例を経験した.  症例は82歳女性. 過去に2 : 1房室ブロックを指摘されていたが, 症状なく経過していた. 今回増悪する呼吸困難を主訴に救急搬送された. 12誘導心電図で胸部誘導のST上昇と2 : 1房室ブロックを認め, 胸部X線で肺うっ血像を認めた. 緊急冠動脈造影を行ったところ冠動脈に有意狭窄は認めなかった. 左室造影でたこつぼ様左室壁運動異常を認め, たこつぼ心筋症として矛盾しない所見であった. 心不全管理の目的に一時的ペースメーカーを留置した.  第2病日に完全房室ブロックとなり, 第8病日まで経過をみたが房室伝導障害の改善を認めず恒久的ペースメーカー植込み術を実施した. 発症6週間の心電図では2 : 1房室伝導に改善し, 経胸壁心臓超音波では壁運動異常も改善していた.  たこつぼ心筋症の房室伝導への影響は明らかになっていないが, 本症例の臨床経過からたこつぼ心筋症を契機に一過性に房室ブロックの増悪を認めた可能性が高いと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.47.1127