A-6. Protein S欠損症にHITを併発したら, とんでもないことになっちゃった
「症例」: 10代男性, 元来健康で特記すべき既往歴・家族歴は認めなかった. 発熱・右下肢の腫脹疼痛を主訴に近医を受診し造影CTを撮像されたところ下大静脈から右外腸骨静脈にかけて血栓を認めた. 近医で下大静脈フィルター(OptEase)を留置された上で静脈インターベンション依頼にて当院紹介転院となった. 当院施行の下肢静脈造影では右大腿静脈から総腸骨静脈まで血栓閉塞を認めたため引き続きインターベンションを施行した. 血栓吸引・血栓押し出し療法・血栓溶解療法などを施行し血栓の残存は認めるものの右下肢静脈の良好な血流再開を得た. しかし翌日に確認造影を施行すると右下肢静脈の血流は良好であったがフィ...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2015, Vol.47(7), pp.872-872 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「症例」: 10代男性, 元来健康で特記すべき既往歴・家族歴は認めなかった. 発熱・右下肢の腫脹疼痛を主訴に近医を受診し造影CTを撮像されたところ下大静脈から右外腸骨静脈にかけて血栓を認めた. 近医で下大静脈フィルター(OptEase)を留置された上で静脈インターベンション依頼にて当院紹介転院となった. 当院施行の下肢静脈造影では右大腿静脈から総腸骨静脈まで血栓閉塞を認めたため引き続きインターベンションを施行した. 血栓吸引・血栓押し出し療法・血栓溶解療法などを施行し血栓の残存は認めるものの右下肢静脈の良好な血流再開を得た. しかし翌日に確認造影を施行すると右下肢静脈の血流は良好であったがフィルターの血栓性閉塞と左総腸骨静脈の完全閉塞を認めた. 残存血栓に見合わない血栓性閉塞であったためにこの時点でHIT抗体を提出した. フィルターの血栓性閉塞に対してはフィルター上に新たにニューハウスプロテクトを留置した上で閉塞フィルターを抜去した. 以後腸骨静脈の血栓閉塞部にカテーテルを留置しウロキナーゼ静注を施行したが血栓量が多く治療に難渋した. 経過中HIT抗体陽性とプロテインS欠損症が判明した. 先天性凝固異常がある場合, フィルターは血栓惹起の原因となるためこれを抜去し, ヘパリン使用も中止してウロキナーゼと抗凝固薬内服にて経過観察とした. その後症状は完全に消失した. 慢性期造影では右下肢静脈の血流は良好であり, 左下肢静脈はやはり総腸骨静脈で完全閉塞していたが良好な側副血行路の発達を認めた. 「結語」: 若年の深部静脈血栓症ではさまざまな基礎疾患が背景にあることが多く, 本症例のようにフィルター留置やヘパリン使用がかえって病態を悪化させることがあるため, 注意が必要である. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.47.872 |