経皮的大動脈弁バルーン形成術にて加療した高齢Heyde症候群の1例
症例は81歳, 女性. 呼吸困難感にて受診, 高度大動脈弁狭窄症 (aortic stenosis ; AS), NYHAⅢ度の心不全, 貧血 (Hb 6.5g/dL) にて緊急入院となった. 消化管出血を認め上部・下部内視鏡検査を行ったが, 下行結腸からS状結腸にかけて血管異形成を疑わせる所見を認めるものの出血源は不明であった. 高度ASに原因不明の消化管出血を引き起こしていることからHeyde症候群, 後天性von Willebrand症候群2 A型 (acquired von Willebrand syndrome type 2 A ; AVWS-2 A) を疑い検査を行った結果, vo...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2015, Vol.47(7), pp.854-859 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は81歳, 女性. 呼吸困難感にて受診, 高度大動脈弁狭窄症 (aortic stenosis ; AS), NYHAⅢ度の心不全, 貧血 (Hb 6.5g/dL) にて緊急入院となった. 消化管出血を認め上部・下部内視鏡検査を行ったが, 下行結腸からS状結腸にかけて血管異形成を疑わせる所見を認めるものの出血源は不明であった. 高度ASに原因不明の消化管出血を引き起こしていることからHeyde症候群, 後天性von Willebrand症候群2 A型 (acquired von Willebrand syndrome type 2 A ; AVWS-2 A) を疑い検査を行った結果, von Willebrand因子 (VWF) 抗原定量80% (基準値50~155%) と正常であったが, VWF活性48% (基準値60~170%) と低下, VWF高分子マルチマーの欠乏を認めた. 以上より, Heyde症候群, AVWS-2 Aと診断した. 根本的治療法としては, 外科的大動脈弁置換術 (surgical aortic valve replacement ; SAVR) とされている. しかし, AS患者は, 高齢者に多く基礎疾患が多彩であることや術前の全身状態不良等の理由により, 手術が行われないことが多い. 本症例では経皮的大動脈弁バルーン形成術 (percutaneous balloon aortic valvuloplasty ; BAV) を施行した. BAV前後で大動脈弁弁口面積は0.46cm2から0.88cm2, 平均圧較差は111.7mmHgから41.6mmHgへ改善した. また, VWF活性も48%から102%と改善を認め, 貧血改善を認めた. 以上より, BAVによる治療効果として, ASの圧較差改善や心不全改善のみでなく, 凝固異常に伴う貧血改善効果も得られたと考える. BAVによるさまざまな治療効果が得られた高齢Heyde症候群の症例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.47.854 |