急性心筋梗塞に巨大心内血栓を合併したヘパリン起因性血小板減少症 (HIT) の1例
症例は65歳女性. 急性心筋梗塞にて当院へ救急搬送され, 左前下行枝の完全閉塞に対しステント留置を行い良好な再疎通が得られた. 心エコー図検査にて心尖部の瘤化と壁在血栓形成を認め, ヘパリン, ワルファリンによる抗凝固療法を継続していたが, 第12病日には30×40mm大の巨大心尖部血栓となった. さらに肺塞栓症や腎梗塞など, 全身の動静脈系にも血栓症を認め, 血小板数の低下 (23.9×104→7.1×104/μL) とあわせてヘパリン起因性血小板減少症 (HIT) を疑い, ヘパリン投与をただちに中止. のちにHIT抗体陽性を認め, HITとして典型的な臨床経過であることからHITと診断し...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2015, Vol.47(1), pp.76-83 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は65歳女性. 急性心筋梗塞にて当院へ救急搬送され, 左前下行枝の完全閉塞に対しステント留置を行い良好な再疎通が得られた. 心エコー図検査にて心尖部の瘤化と壁在血栓形成を認め, ヘパリン, ワルファリンによる抗凝固療法を継続していたが, 第12病日には30×40mm大の巨大心尖部血栓となった. さらに肺塞栓症や腎梗塞など, 全身の動静脈系にも血栓症を認め, 血小板数の低下 (23.9×104→7.1×104/μL) とあわせてヘパリン起因性血小板減少症 (HIT) を疑い, ヘパリン投与をただちに中止. のちにHIT抗体陽性を認め, HITとして典型的な臨床経過であることからHITと診断した. アルガトロバン持続投与後は新規血栓症の発症なく血小板数も回復したが, 心尖部の巨大血栓は退縮なく, さらに慢性期に行った冠動脈CT検査ではステント内完全閉塞が認められた. 再血行再建術の時期およびその方法には慎重な検討を要したが, 本症例ではアルガトロバン持続投与下にHIT抗体の陰性化を確認したのち, 第81病日にヘパリン投与下体外循環での冠動脈バイパス術, 左室形成術および血栓摘除術を行い, HITの再発や合併症なく手術に成功した. HIT患者で人工心肺下開心術が必要な場合, HIT抗体陰性化を確認できればヘパリンを用いた体外循環法がアルガトロバン使用よりも安全と考えられる. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.47.76 |