僧帽弁輪石灰化を合併した石灰化大動脈弁狭窄症に対し手術を要した姉弟症例

石灰化大動脈弁狭窄, 僧帽弁輪石灰化はいまだ明確な発生機序は判明していない. 今回われわれは高度の僧帽弁輪石灰化を合併した石灰化大動脈弁狭窄症に対し手術を要した姉弟症例を経験したので報告する.  弟症例 : 75歳, 主訴は呼吸困難. 既往歴に完全房室ブロック, 高血圧, 家族歴に父, 弟の心疾患による死亡を認めた. 心エコーにて高度の大動脈弁狭窄, 僧帽弁閉鎖不全, 三尖弁閉鎖不全を認め, CTにて高度の大動脈弁, 僧帽弁輪の石灰化を認めた. 手術は超音波吸引装置にて弁輪の石灰化を除去し2弁とも置換した. 長時間の心筋保護を要したが, 術後合併症なく退院した.  姉症例 : 85歳, 主訴は...

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Veröffentlicht in:心臓 2014, Vol.46(10), pp.1374-1379
Hauptverfasser: 大保, 英文, 泉, 聡, 脇山, 英丘
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:石灰化大動脈弁狭窄, 僧帽弁輪石灰化はいまだ明確な発生機序は判明していない. 今回われわれは高度の僧帽弁輪石灰化を合併した石灰化大動脈弁狭窄症に対し手術を要した姉弟症例を経験したので報告する.  弟症例 : 75歳, 主訴は呼吸困難. 既往歴に完全房室ブロック, 高血圧, 家族歴に父, 弟の心疾患による死亡を認めた. 心エコーにて高度の大動脈弁狭窄, 僧帽弁閉鎖不全, 三尖弁閉鎖不全を認め, CTにて高度の大動脈弁, 僧帽弁輪の石灰化を認めた. 手術は超音波吸引装置にて弁輪の石灰化を除去し2弁とも置換した. 長時間の心筋保護を要したが, 術後合併症なく退院した.  姉症例 : 85歳, 主訴は労作時呼吸困難. 心エコーにて高度の大動脈弁狭窄, 中等度の僧帽弁閉鎖不全を認めた. CTにてやはり高度の弁輪の石灰化を認めた. 手術は年齢を考慮し大動脈弁置換のみを行ったが, 術後合併症なく退院した.  高いリスクが懸念される大動脈弁, 僧帽弁輪の高度石灰化合併例では術前のCTによる石灰化病変の立体画像構築による評価や超音波吸引装置の使用は有用であった. またその発生機序が解明されるに従い遺伝性素因を指摘する論文が増えていることから, 本邦においても家族例の集積や遺伝子解析が期待される.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.1374