山中論文に対するEditorial Comment

近年の心血管インターベンション領域の進歩は目覚ましいが, ステント血栓症(ST)は完全には解決されていない問題の1つである. 山中らはST上昇型急性心筋梗塞症(STEMI)の急性期に異なる部位のSTを繰り返した症例を経験し, 抗血栓療法の工夫や血管内超音波(IVUS)を用いたステント内追加拡張がなされた. STの原因は複合的で時期によっても異なるが, 早期STでは易血栓形成性とステント拡張不良が主たる要因と考えられる. 急性冠症候群(ACS)のPCI実施例には低用量アスピリンに加えて強力なP2Y12受容体の阻害が冠動脈内血栓の再発予防に有用である. しかしクロピドグレルはプロドラッグで抗血小板...

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Veröffentlicht in:心臓 2014, Vol.46(9), pp.1293-1294
1. Verfasser: 塚原, 健吾
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:近年の心血管インターベンション領域の進歩は目覚ましいが, ステント血栓症(ST)は完全には解決されていない問題の1つである. 山中らはST上昇型急性心筋梗塞症(STEMI)の急性期に異なる部位のSTを繰り返した症例を経験し, 抗血栓療法の工夫や血管内超音波(IVUS)を用いたステント内追加拡張がなされた. STの原因は複合的で時期によっても異なるが, 早期STでは易血栓形成性とステント拡張不良が主たる要因と考えられる. 急性冠症候群(ACS)のPCI実施例には低用量アスピリンに加えて強力なP2Y12受容体の阻害が冠動脈内血栓の再発予防に有用である. しかしクロピドグレルはプロドラッグで抗血小板効果発現までに時間を要し, 肝臓のチトクロームP450, 主にCYP2C19で代謝活性化されるのでCYP2C19遺伝子多型例ではクロピドグレルの効果が減弱する. 本報告で示されるようにACSにおける現状の抗血栓療法は必ずしも十分ではない.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.46.1293