S-4. 急性肺塞栓症に対する外科治療
急性肺塞栓症でショック, 心肺停止を合併した症例は治療に難渋し治療成績は不良である. さらに慢性血栓塞栓性肺高血圧症の急性増悪症例も同様な病態を呈し鑑別・治療に難渋する. 当科ではショック, 心肺停止を合併した症例や右房右室に浮遊血栓を認める急性肺塞栓症例に対して肺動脈血栓摘除術を施行している. また, 慢性血栓塞栓性肺高血圧症急性増悪症例に対して血栓溶解療法・抗凝固療法を行い, 奏功しない場合に肺動脈内膜摘除術を施行している. 肺動脈血栓除去術は左右主肺動脈をそれぞれ切開し区域枝の血栓まで可及的に摘出する. 肺動脈内膜摘除術は超低体温循環停止下に区域枝・亜区域枝の血栓内膜を摘出する. 201...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2014, Vol.46(7), pp.1040-1040 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 急性肺塞栓症でショック, 心肺停止を合併した症例は治療に難渋し治療成績は不良である. さらに慢性血栓塞栓性肺高血圧症の急性増悪症例も同様な病態を呈し鑑別・治療に難渋する. 当科ではショック, 心肺停止を合併した症例や右房右室に浮遊血栓を認める急性肺塞栓症例に対して肺動脈血栓摘除術を施行している. また, 慢性血栓塞栓性肺高血圧症急性増悪症例に対して血栓溶解療法・抗凝固療法を行い, 奏功しない場合に肺動脈内膜摘除術を施行している. 肺動脈血栓除去術は左右主肺動脈をそれぞれ切開し区域枝の血栓まで可及的に摘出する. 肺動脈内膜摘除術は超低体温循環停止下に区域枝・亜区域枝の血栓内膜を摘出する. 2012年1月~2013年6月に急性肺塞栓症症例3例に肺動脈血栓除去術, 慢性血栓塞栓性肺高血圧症急性増悪症例2例に肺動脈内膜摘除術を施行した. 急性肺塞栓症症例は2例が術前ショック, 心肺停止のため心肺補助装置を必要とし, 1例は非ショックであったが右房右室に浮遊血栓を認めた. 慢性血栓塞栓性肺高血圧症急性増悪症例は1例が急性大動脈解離を発症し弓部置換術施行後心肺補助装置を導入したが新たに血栓形成し離脱できず手術施行した. もう1例はクリアクターが奏功せず高度の低酸素血症, ショックを呈したため心肺補助装置を導入し手術施行した. 術前心肺補助装置を必要とした症例はすべて人工心肺を直接離脱した. すべての症例が生存退院した. また, 同時期に急性肺塞栓症でショックとなった非手術症例は5例あり(抗凝固療法1例, 血栓溶解療法4例)2例死亡した. ショックとなった急性肺塞栓症症例に対して外科治療は有効な治療法である. 両側肺動脈切開により末梢の血栓を可及的に摘出すること, 慢性血栓塞栓性肺高血圧症急性増悪と鑑別することが治療成績の向上に非常に重要である. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.46.1040 |