月経周辺期の胸痛を主訴とした拘束型心筋症の1例
拘束型心筋症は, ①硬い左室の存在があり, ②心室拡大や心室肥大を伴わず, ③左室収縮能は正常または正常に近い収縮が保持されている, ④原因不明の左室拡張障害を基本病態とする心筋疾患である. 本症例は26歳ころから月経周期と関連して胸痛が出現するようになるが妊娠・授乳期に胸痛発作はなかった. 33歳時に冠攣縮誘発試験など受けたが異常は認められなかった. 39歳, 月経前後にST下降および陰性T波を伴う強い胸痛がありニトログリセリン錠の舌下が有効であった. 心エコー図検査では壁厚, 腔径, 左室収縮能は正常であり, 40歳時月経後の冠攣縮誘発試験や微小血管性狭心症の検査は陰性であった. しかしな...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2014, Vol.46(3), pp.349-355 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 拘束型心筋症は, ①硬い左室の存在があり, ②心室拡大や心室肥大を伴わず, ③左室収縮能は正常または正常に近い収縮が保持されている, ④原因不明の左室拡張障害を基本病態とする心筋疾患である. 本症例は26歳ころから月経周期と関連して胸痛が出現するようになるが妊娠・授乳期に胸痛発作はなかった. 33歳時に冠攣縮誘発試験など受けたが異常は認められなかった. 39歳, 月経前後にST下降および陰性T波を伴う強い胸痛がありニトログリセリン錠の舌下が有効であった. 心エコー図検査では壁厚, 腔径, 左室収縮能は正常であり, 40歳時月経後の冠攣縮誘発試験や微小血管性狭心症の検査は陰性であった. しかしながら, 肺動脈楔入圧, 左室拡張末期圧は高値であり, 右室心筋生検では心筋細胞の肥大, 粗鬆化, 空胞変性, 置換性線維化などを認めた. ガリウムシンチグラムでは炎症性心膜・心筋疾患は否定的であり, ガドリニウム造影心筋磁気共鳴画像では左室心筋層の造影所見を認め心筋傷害が示唆された. 運動負荷試験では胸部違和感が出現し, 最大酸素摂取量の低下を認め潜在性心不全の所見と考えられた. 2次性心筋症を疑う検査所見はなかった. 拘束型心筋症の診断基準4項目を充足しており, 拘束型心筋症と診断した. 本症例においては, 月経周辺期の体液貯留および労作に起因する左室拡張末期圧の上昇が心内膜下虚血を引き起こし, 胸痛や心電図変化が出現したものと推察された. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.46.349 |