緊急インターベンションによる再灌流後, 一過性QT延長に伴うtorsade de pointesをきたした急性心筋梗塞の1例
症例は不整脈の既往のない54歳, 女性. 安静時胸痛を主訴に救急搬送. 心電図で急性心筋梗塞と診断し, 緊急冠動脈造影施行. 検査直前に心室細動をきたし電気的除細動を必要とした. 左前下行枝に高度狭窄を認め, 経皮的冠動脈インターベンション (percutaneous coronary intervention ; PCI) を施行. PCI後の心電図でQT延長を認め, 第2病日夜にモニターでtorsade de pointes (TdP) を認めた. 心電図では著明なQT延長を伴う巨大陰性T波出現. 心筋虚血解除後の再灌流による一過性変化と考えリドカイン持続投与とし, その後入眠しTdPの再...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2014, Vol.46(3), pp.339-347 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は不整脈の既往のない54歳, 女性. 安静時胸痛を主訴に救急搬送. 心電図で急性心筋梗塞と診断し, 緊急冠動脈造影施行. 検査直前に心室細動をきたし電気的除細動を必要とした. 左前下行枝に高度狭窄を認め, 経皮的冠動脈インターベンション (percutaneous coronary intervention ; PCI) を施行. PCI後の心電図でQT延長を認め, 第2病日夜にモニターでtorsade de pointes (TdP) を認めた. 心電図では著明なQT延長を伴う巨大陰性T波出現. 心筋虚血解除後の再灌流による一過性変化と考えリドカイン持続投与とし, その後入眠しTdPの再発はみられなかったが, 第3病日の起床時よりTdPを繰り返し, electrical stormに陥った. 電解質異常や急性ステント血栓症を示唆する所見はなく, Mg, アミオダロン, β-blocker投与, 血中Kの正常上限保持に努め, electrical stormから脱した. 半年前の健康診断心電図ではnotchを伴うQT延長を認め, QT延長症候群の診断基準を満たしていた. 退院時の運動負荷心電図で, 延長していたQTは短縮し負荷終了後に再び延長したこと, TdPは情動ストレスや聴覚刺激を受けやすい覚醒時に頻発し, 入眠中は生じないことより, 先天性QT延長症候群のQT延長症候群2型 (long QT syndrome type 2 ; LQT2) と臨床的に診断した. 本症例は, これまで不整脈に伴う自覚症状がないことより, 無症候性のものが, 急性心筋梗塞早期再灌流によりQT延長が顕著化し, 難治性TdPを発症したと考えられる. 急性心筋梗塞の虚血解除後のQT延長は1~2%と稀だが1), 本症例のように著明なQT延長に伴う巨大陰性T波がみられる症例では難治性TdPに陥ることを念頭に管理すべきである. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.46.339 |