自家静脈パッチ形成を併用した大腿動脈-後脛骨動脈バイパス術の1例
膝下領域における血行再建は血管内治療・外科治療ともにその成績は満足のいくものとは言い難い. 今回, われわれは大腿動脈-後脛骨動脈バイパス術に自家静脈による吻合部パッチ形成術を併施することで良好な血流改善を得た1例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 症例は68歳, 女性の透析患者. 右間歇性跛行を主訴に当院受診. 足関節上腕血圧比 (ankle brachial pressure index ; ABPI) は右0.74. CTでは総大腿動脈分岐部に石灰化を伴う50%狭窄, 浅大腿動脈は起始部から完全閉塞, 膝窩動脈から再造影されるものの強い石灰化と75%狭窄を認めた. 膝下3分岐...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2014, Vol.46(2), pp.202-208 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 膝下領域における血行再建は血管内治療・外科治療ともにその成績は満足のいくものとは言い難い. 今回, われわれは大腿動脈-後脛骨動脈バイパス術に自家静脈による吻合部パッチ形成術を併施することで良好な血流改善を得た1例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 症例は68歳, 女性の透析患者. 右間歇性跛行を主訴に当院受診. 足関節上腕血圧比 (ankle brachial pressure index ; ABPI) は右0.74. CTでは総大腿動脈分岐部に石灰化を伴う50%狭窄, 浅大腿動脈は起始部から完全閉塞, 膝窩動脈から再造影されるものの強い石灰化と75%狭窄を認めた. 膝下3分岐以下では比較的良好な性状であったため, 大伏在静脈を用いた右総大腿動脈-脛骨腓骨動脈幹バイパス術を予定した. 術中造影を行ったところ, 右後脛骨動脈で病変の増悪を認め, 起始部から完全閉塞をきたしていた. そのため, 末梢側吻合予定であった脛骨腓骨動脈幹から後脛骨動脈にかけて約5cmにわたって血栓内膜剥離を行い, 切開口に静脈パッチを縫着し内腔の拡大を図った. 静脈パッチ中央部に吻合口を形成しグラフトとの吻合を行った. 中枢側吻合部の総大腿動脈でも血栓内膜剥離および静脈パッチ形成術を行った後にグラフトと吻合した. 術後, 間歇性跛行は消失しCTでグラフト開存を確認した. 石灰化を伴う細径の末梢側吻合血管に対し, 血栓内膜剥離および静脈パッチ形成にて吻合動脈の内腔拡大を図ることで良好なバイパス血流を得ることができた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.46.202 |