産褥期に冠動脈解離による広範囲の急性心筋梗塞を発症した1例

37歳の女性. 第 2子を正常分娩後 4日目に意識を消失し, 救急外来を受診した. 血圧40/ -mmHg, 心拍数126/分, チアノーゼを認めショック状態であった. 心電図上は, 完全右脚ブロック, 左側胸部誘導中心のST上昇を示し, 胸部X線では肺水腫を認めた. 心エコー上は, 前壁中隔から側壁にかけて広範な低収縮であった. 緊急冠動脈造影にて左冠動脈主幹部より左前下行枝, 回旋枝にかけての解離を認めた. 主幹部から回旋枝にベアメタルステントを留置したが, 前下行枝の血流は確保されなかった. 緊急冠動脈バイパス術を予定したが, 血行動態の悪化により施行されなかった. 最大CK値は17,7...

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Veröffentlicht in:心臓 2013, Vol.45(10), pp.1302-1306
Hauptverfasser: 望月, 優作, 佐藤, 洋, 佐野, 誠, 早乙女, 雅夫, 漆田, 毅, 加藤, 秀樹, 林, 秀晴, 伊東, 宏晃, 金山, 尚裕
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:37歳の女性. 第 2子を正常分娩後 4日目に意識を消失し, 救急外来を受診した. 血圧40/ -mmHg, 心拍数126/分, チアノーゼを認めショック状態であった. 心電図上は, 完全右脚ブロック, 左側胸部誘導中心のST上昇を示し, 胸部X線では肺水腫を認めた. 心エコー上は, 前壁中隔から側壁にかけて広範な低収縮であった. 緊急冠動脈造影にて左冠動脈主幹部より左前下行枝, 回旋枝にかけての解離を認めた. 主幹部から回旋枝にベアメタルステントを留置したが, 前下行枝の血流は確保されなかった. 緊急冠動脈バイパス術を予定したが, 血行動態の悪化により施行されなかった. 最大CK値は17,742 IU/Lと広範な梗塞であり, 大動脈内バルーンパンピング, カテコラミンの投与によりショックから離脱した. 第61病日に施行した冠動脈造影では, 左前下行枝は再開通し, 解離は自然修復されていた. 妊娠に関連した急性心筋梗塞は非常に稀であるが, 最近の妊婦の高齢化により増加している. 特に, 産褥期は冠動脈解離に注意する必要がある.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.45.1302