両室ペーシングが奏功したlamin A/C遺伝子関連心筋症患者の長期経過を観察し得た1例

50歳ごろより心房細動と高血圧を指摘されていた60歳の女性が, 完全房室ブロックによる徐脈となり, 2002年に永久ペースメーカ移植を行われた. その後, 約 2年間の経過で心機能が著明に低下し, 心不全悪化による入院を繰り返した. そのため, 2004年にペースメーカを両室ペーシング機能付き植込み型除細動器に変更したところ心機能は改善し, 心不全の悪化による入院を必要としなくなった. その後約 8年間の経過で心エコーでの左室拡張末期径は再拡大傾向であるが, 心不全症状の悪化や脳性ナトリウム利尿ペプチド (brain natriuretic peptide ; BNP) の再上昇は認めていない...

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Veröffentlicht in:心臓 2013, Vol.45(10), pp.1260-1265
Hauptverfasser: 池田, 智之, 牧山, 武, 中尾, 哲史, 椙本, 晃, 宮澤, 豪, 下司, 徹, 中野, 顕, 大橋, 直弘, 綿貫, 正人, 日村, 好宏, 堀江, 稔
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:50歳ごろより心房細動と高血圧を指摘されていた60歳の女性が, 完全房室ブロックによる徐脈となり, 2002年に永久ペースメーカ移植を行われた. その後, 約 2年間の経過で心機能が著明に低下し, 心不全悪化による入院を繰り返した. そのため, 2004年にペースメーカを両室ペーシング機能付き植込み型除細動器に変更したところ心機能は改善し, 心不全の悪化による入院を必要としなくなった. その後約 8年間の経過で心エコーでの左室拡張末期径は再拡大傾向であるが, 心不全症状の悪化や脳性ナトリウム利尿ペプチド (brain natriuretic peptide ; BNP) の再上昇は認めていない. 本症例は家族歴に房室ブロックと心不全を有するために遺伝性の心疾患の関与を疑い, 遺伝子解析を行ったところ, lamin A/C遺伝子 (LMNA) に異常を認めた. LMNAは, 核膜の裏打ち蛋白であるlamin A/Cをコードする. 本遺伝子異常により家族性に伝導障害, 拡張型心筋症様の心機能低下をきたす. 本疾患に対する伝導障害には両室ペーシングが有効であると報告されているが, その後の長期経過を観察し得た症例は貴重であり報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.45.1260