冠動脈バイパス術後の左鎖骨下動脈狭窄による急性心不全に対して腋窩動脈バイパス術が 有効であった1例
狭心症に対する3枝冠動脈バイパス手術〔左内胸動脈(left internal thoracic artery;LITA)-左前下行枝,大伏在静脈(saphenous vein graft;SVG)-鈍縁枝(obtuse marginal branch;OM),SVG-後下行枝(poster descending branch;PD)〕の既往がある75歳女性.突然の呼吸困難を主訴に来院し急性心不全と診断され,経胸壁心エコーで左室前壁中隔の著明な壁運動低下を認めたため,急性前壁中隔梗塞が疑われた.また,来院時の上肢血圧に左右差(左が右よりも40mmHg低値)を認めた.右大腿動脈アプローチにより冠動...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2013/09/15, Vol.45(9), pp.1139-1143 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 狭心症に対する3枝冠動脈バイパス手術〔左内胸動脈(left internal thoracic artery;LITA)-左前下行枝,大伏在静脈(saphenous vein graft;SVG)-鈍縁枝(obtuse marginal branch;OM),SVG-後下行枝(poster descending branch;PD)〕の既往がある75歳女性.突然の呼吸困難を主訴に来院し急性心不全と診断され,経胸壁心エコーで左室前壁中隔の著明な壁運動低下を認めたため,急性前壁中隔梗塞が疑われた.また,来院時の上肢血圧に左右差(左が右よりも40mmHg低値)を認めた.右大腿動脈アプローチにより冠動脈造影検査を施行しSVG-OM,SVG-PDには有意病変を認めなかったが,左鎖骨下動脈に高度な狭窄を認めLITAは順行性に造影されなかった.左上腕動脈アプローチによる造影ではLITAに器質的な病変を認めないことを確認し,緊急で右左腋窩動脈バイパス術を行った.術後の経過は良好で,左室前壁中隔の壁運動は著明に改善し心不全はコントロールされた.また,手術直後から上肢血圧の左右差は消失した.LITAグラフト近位側の鎖骨下動脈狭窄が原因となる虚血性心疾患は,coronary subclavian steal syndromeとして報告が散見される.治療としては,狭窄部位に対する経皮的動脈形成術やさまざまな術式によるバイパス手術がある.症例ごとに術式を決定する必要があり,われわれの経験した症例は考察に富む症例であったため,これを報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.45.1139 |