急性大動脈解離の最近の動向―病因, 診断, 治療

急性大動脈解離は, 突然に発症し, 適切な診断, 治療が施されなければ発症早期に半数以上の患者が死亡する極めて重篤な疾患の1つである. 従来よりその発生頻度は人口10万人に対し年間3~5例程度とされてきたが, 最近の報告によると, CTやエコーなどの画像診断の普及, 発展, および緊急搬送を中心とした医療体制の整備, 改善などを背景に, 年間10例程度と増加傾向にある. このほか, 病院に搬送されず正確な死因が不明な院外心肺停止の症例を加えると, その数は決して少なくない. しかし, 現実は専門的かつ高度な緊急対応を要する重症疾患だけに, すべての症例が正確に診断され適切な治療を受けているとは...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:心臓 2013-09, Vol.45 (9), p.1077-1077
1. Verfasser: 荻野均
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:急性大動脈解離は, 突然に発症し, 適切な診断, 治療が施されなければ発症早期に半数以上の患者が死亡する極めて重篤な疾患の1つである. 従来よりその発生頻度は人口10万人に対し年間3~5例程度とされてきたが, 最近の報告によると, CTやエコーなどの画像診断の普及, 発展, および緊急搬送を中心とした医療体制の整備, 改善などを背景に, 年間10例程度と増加傾向にある. このほか, 病院に搬送されず正確な死因が不明な院外心肺停止の症例を加えると, その数は決して少なくない. しかし, 現実は専門的かつ高度な緊急対応を要する重症疾患だけに, すべての症例が正確に診断され適切な治療を受けているとは言い切れず, いまだ多くの改善の余地が残されている. 理由の1つとして, 外科手術が治療の中心であったこともあり, 主に心臓血管外科医がその診療の多くの部分を担当してきたことがあげられる. 最近になり, 遺伝子診断やエコー, CTなどの画像診断の進歩, 発症前後および遠隔期での内科的治療(薬物治療)の重要性, さらに, 最近著しい進歩, 発展をみせるステントグラフト内挿術を中心とした血管内治療など, 専門分野も多岐にわたってきている. したがって, 急性大動脈解離の診断, 治療, およびその予防において, 心臓血管外科医のみならず, 循環器内科医, 放射線科医, およびほかの医療スタッフらが積極的に参画した集学的診療, まさに「Aorta team」としての診療体制の構築が必要とされてきている. 今回, 急性大動脈解離の病因, 診断, 治療の各分野におけるエキスパートに原稿をお願いした. 本特集が急性大動脈解離の診断, 治療における一助となり, より多くの患者の救命につながることを期待する.
ISSN:0586-4488