A-19 低用量未分画ヘパリンの予防投与にもかかわらず術後静脈血栓塞栓症を発症した泌尿器科悪性腫瘍症例の検討
泌尿器科悪性腫瘍に対する開腹手術では, 静脈血栓塞栓症(VTE)発生のリスクが高く, 弾性ストッキングや間歇的空気圧迫法等の理学的予防法に加えて, 低用量未分画ヘパリンの予防的投与が推奨されている. 当院において過去7年間に実施された泌尿器科悪性腫瘍手術後に, 上記理学的予防法と低用量ヘパリン投与を併施したにもかかわらず発生したVTE症例について後ろ向きに検討したので報告する. 「方法」: 2005年4月から2012年3月末までの間に実施された泌尿器科悪性腫瘍に対する開腹手術496例を対象とし, 術後に症候性VTEを発症した患者の経過を検討した. 「結果」: ヘパリン予防投与を行った496例中...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2013-07, Vol.45 (7), p.868-868 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 泌尿器科悪性腫瘍に対する開腹手術では, 静脈血栓塞栓症(VTE)発生のリスクが高く, 弾性ストッキングや間歇的空気圧迫法等の理学的予防法に加えて, 低用量未分画ヘパリンの予防的投与が推奨されている. 当院において過去7年間に実施された泌尿器科悪性腫瘍手術後に, 上記理学的予防法と低用量ヘパリン投与を併施したにもかかわらず発生したVTE症例について後ろ向きに検討したので報告する. 「方法」: 2005年4月から2012年3月末までの間に実施された泌尿器科悪性腫瘍に対する開腹手術496例を対象とし, 術後に症候性VTEを発症した患者の経過を検討した. 「結果」: ヘパリン予防投与を行った496例中7例で術後に症候性VTEが発症し, そのうち4例に急性肺血栓塞栓症(APTE)を合併していた. 7例の内訳は, 前立腺全摘3例, 腎尿管全摘2例, 膀胱全摘+代用膀胱増設1例および膀胱部分切除1例で, 全例に持続硬膜外麻酔を併用したため, 6,000単位/日のヘパリン持続投与を術翌朝から開始し, 4ないし6日間継続した. VTEの既往や血栓性素因を有する最高リスク症例2例では, 発症までが8日および5日と比較的短かったが, ほかの4例では平均23日と長く, 骨盤内リンパ嚢腫, 骨盤内膿瘍あるいは敗血症などの術後合併症による長期臥床および退院後に発症した. 造影CTにてAPTEが確認された4症例のうち非広範型は3例, 右心負荷所見を認めた亜広範型は1例のみであり, 抗凝固療法あるいはウロキナーゼによる血栓溶解療法のみで軽快・退院した. 「考察」: 症候性VTEおよびAPTEの発生率は1.4%および0.8%とほかの報告と比べて少なくなかったが, ヘパリンの予防投与のためかAPTE合併例を含めて予後は良好であった. 術後早期に発症した最高リスクの2症例では, 抗凝固薬の増量の必要性が示唆された. それ以外の5症例では, ヘパリン投与中止後に発症した術後合併症や長期間の臥床の影響が強く, 術後経過により抗凝固薬の投与期間の延長も考慮すべきであると思われた. |
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ISSN: | 0586-4488 |