A-1 下大静脈フィルター長期留置後に総腸骨静脈破裂をきたした1例

「症例」: 83歳, 女性. 「主訴」: 意識障害, 腰背部痛. 「既往歴」: 発作性心房細動. 「現病歴」: 10年前に肺塞栓症, 深部静脈血栓症に対して, 永久式下大静脈フィルター(Greenfield)を留置された. 以後, ワルファリン内服を継続して経過観察されていたが, 3ヵ月前より自己中断した. 1週間前, 農作業後に腰痛が出現し, 歩行困難となった. 安静で経過観察するも症状改善なく, 意識レベルが低下したために, 救急搬送された. 来院時, 意識レベルJCS II-20, 血圧116/90mmHg, HR 108bpm, SAT 94%(room air). 眼瞼結膜は貧血様で...

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Veröffentlicht in:心臓 2013-07, Vol.45 (7), p.834-834
Hauptverfasser: 中村浩彰, 角谷誠, 畑澤圭子, 松添弘樹, 辻隆之, 井上通彦, 熊谷寛之, 則定加津子, 高見薫, 伴親徳, 開發謙次, 七星雅一, 清水宏紀, 大西祥男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「症例」: 83歳, 女性. 「主訴」: 意識障害, 腰背部痛. 「既往歴」: 発作性心房細動. 「現病歴」: 10年前に肺塞栓症, 深部静脈血栓症に対して, 永久式下大静脈フィルター(Greenfield)を留置された. 以後, ワルファリン内服を継続して経過観察されていたが, 3ヵ月前より自己中断した. 1週間前, 農作業後に腰痛が出現し, 歩行困難となった. 安静で経過観察するも症状改善なく, 意識レベルが低下したために, 救急搬送された. 来院時, 意識レベルJCS II-20, 血圧116/90mmHg, HR 108bpm, SAT 94%(room air). 眼瞼結膜は貧血様であり, 四肢末梢に冷感を認めた. 直腸診に異常所見なし. 心電図は洞性頻脈. 心エコーで左室壁運動に異常なく, 下大静脈が虚脱していた. CTで右後腹膜血腫あり. 下大静脈はフィルターより頭側では虚脱していた. フィルター内はややhigh density, 尾側は拡張しており, 右総腸骨~外腸骨静脈周囲で後腹膜血腫との辺縁が不明瞭となっていた. また, 右大腿静脈内に血栓がみられた. 造影CTでは, 後腹膜への造影剤の漏出があり. 右外腸骨静脈中枢側~右総腸骨静脈の辺縁は不明瞭であり, この周囲からの出血が示唆された. 大量輸液, 輸血を行うも, 出血性ショックとなり, 永眠された. 病理解剖では, 下大静脈に亀裂を認め, 下大静脈フィルターに血栓が充満, 右腸骨静脈破裂部から後腹膜・腹腔内に出血していた. 「考察」: 抗凝固療法中止により下大静脈フィルター内に血栓を形成. 畑仕事中の体位などで静脈内圧が上昇し, 右総腸骨静脈が破裂し後腹膜出血をきたしたと考えられた. 下大静脈フィルターによる静脈穿孔に伴い, 後腹膜血腫を発症した報告が散見されるが, いずれも軽症である. 本症例のように腸骨静脈の破裂に伴う, 後腹膜血腫の発生の報告はない. 稀な症例であり, 若干の文献的考察を含めて報告する.
ISSN:0586-4488