脊髄硬膜下血腫による脊髄横断症状および感染巣不明のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌血症を呈した急性大動脈解離の1例
症例は, 70歳, 男性. 胸背部痛を主訴に夜間救急受診し, 急性大動脈解離Stanford A型と診断し緊急入院した. 上行大動脈は血栓閉鎖しており保存的治療の方針とした. 入院翌日に両側乳頭以下の運動および感覚障害を認めた. MRIで脊髄硬膜下血腫を認め, 血腫による脊髄圧迫による神経症状と考えられたが, 血腫除去や止血目的の手術はリスクが高いと判断された. 第18病日よりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant staphylococcus aureus; MRSA)による敗血症性ショックとなり, 抗生物質治療を開始したが第43病日に呼吸状態の悪化から死亡...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2013-07, Vol.45 (7), p.817-823 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は, 70歳, 男性. 胸背部痛を主訴に夜間救急受診し, 急性大動脈解離Stanford A型と診断し緊急入院した. 上行大動脈は血栓閉鎖しており保存的治療の方針とした. 入院翌日に両側乳頭以下の運動および感覚障害を認めた. MRIで脊髄硬膜下血腫を認め, 血腫による脊髄圧迫による神経症状と考えられたが, 血腫除去や止血目的の手術はリスクが高いと判断された. 第18病日よりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant staphylococcus aureus; MRSA)による敗血症性ショックとなり, 抗生物質治療を開始したが第43病日に呼吸状態の悪化から死亡した. 第28病日にCT検査を施行したが感染巣は不明であった. 剖検では脊髄梗塞および梗塞巣におけるグラム陽性球菌塊の形成を認めた. 腹部大動脈の一部には解離腔から続く外膜破綻と血腫形成, 同血腫内にグラム陽性球菌塊の形成を認めた. また, 左前大脳動脈に破裂した脳動脈瘤を認め, クモ膜下出血の所見であった. 急性大動脈解離の稀な合併症を重複した貴重な症例と考え, 剖検所見を含め報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 |