初回心電図・採血で異常を示さず,初診内科医と循環器内科医の連携の重要性を再認識した急性冠症候群の2例
症例1は糖尿病,高血圧症,喫煙歴のある75歳,男性.2012年1月,不定愁訴で救急外来受診.当番内科医が診察.初回心電図は明らかな変化を認めず,トロポニンTなどは陰性でありいったん帰宅の方針となった.帰宅直前,心電図モニタでSTが著明に上昇.急性冠症候群(acute coronary syndrome;ACS)の診断で緊急カテーテル検査・治療となった.症例2は高血圧症のある59歳,女性.2012年2月,週末早朝の胸痛で救急外来受診.心電図,採血(WBC,トロポニンT,CKMBなど)で異常を認めずいったん帰宅,週明け循環器内科再診となった.月曜再診時,V2〜5でQ 波出現とトロポニンT陽性を認め...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2013/07/15, Vol.45(7), pp.781-786 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 症例1は糖尿病,高血圧症,喫煙歴のある75歳,男性.2012年1月,不定愁訴で救急外来受診.当番内科医が診察.初回心電図は明らかな変化を認めず,トロポニンTなどは陰性でありいったん帰宅の方針となった.帰宅直前,心電図モニタでSTが著明に上昇.急性冠症候群(acute coronary syndrome;ACS)の診断で緊急カテーテル検査・治療となった.症例2は高血圧症のある59歳,女性.2012年2月,週末早朝の胸痛で救急外来受診.心電図,採血(WBC,トロポニンT,CKMBなど)で異常を認めずいったん帰宅,週明け循環器内科再診となった.月曜再診時,V2〜5でQ 波出現とトロポニンT陽性を認め,カテーテル検査・治療を実施した.2011年,当院で実施された経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention;PCI)353例のうちACSの診断でPCIが実施されたのは94例.このうち,初回心電図でST-T変化を示したものは66例(70%),トロポニンT陽性を示したのは45例(48%)であった.心電図・トロポニンTすべて正常だったものは17例(18%)であった.ACSは循環器専門医でも見逃すことがあり,その診断には問診が重要であるが,初診内科医は心電図や採血といった客観的データを根拠にすることが多い.今回の検討で1回の心電図と採血のみではACSの診断に限界がある可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.45.781 |