現場で胸骨圧迫のみのCPRを行い,社会復帰した院外心停止の1例

69歳,男性.交差点で突然倒れた.目撃者が救急隊を要請したが,心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation;CPR)は行われなかった.約3分後に通りかかった救急医によって胸骨圧迫のみの心肺蘇生(hands only CPR)が開始された.救急隊到着後の自動体外式除細動器(automated external defibrillator;AED)により約10分後と12分後に電気的除細動が行われたが,心室細動(ventricular fibrillation;VF)は継続した.救急車内で静脈路を確保し,エピネフリン1mgを投与して,17分後に3回目の電気的除細動を施行したと...

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Veröffentlicht in:心臓 2012/12/15, Vol.44(12), pp.1521-1525
Hauptverfasser: 伊関, 憲, 林田, 昌子, 清野, 慶子, 篠崎, 克洋, 田勢, 長一郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:69歳,男性.交差点で突然倒れた.目撃者が救急隊を要請したが,心肺蘇生(cardiopulmonary resuscitation;CPR)は行われなかった.約3分後に通りかかった救急医によって胸骨圧迫のみの心肺蘇生(hands only CPR)が開始された.救急隊到着後の自動体外式除細動器(automated external defibrillator;AED)により約10分後と12分後に電気的除細動が行われたが,心室細動(ventricular fibrillation;VF)は継続した.救急車内で静脈路を確保し,エピネフリン1mgを投与して,17分後に3回目の電気的除細動を施行したところ自己心拍が再開した.病院到着後,虚血性心疾患を疑い心臓カテーテル検査を行った.右冠動脈は閉塞しており,回旋枝にも高度狭窄を認めたため,冠動脈バイパス術を施行予定となった.その後,第2病日には開眼,応答が可能となり,第3病日に意識清明となった.第14病日に冠動脈バイパス術を施行され,社会復帰した. 心停止患者の蘇生には,胸骨圧迫は最も重要な手技の1つである.人工呼吸は胸骨圧迫を中断するため,最近ではhands only CPRが検討されている.現場で行うhands only CPRでは,蘇生率が従来のCPRと同等,またはそれ以上の評価を得ている.最近の心肺蘇生ガイドライン2010では訓練されていない一般市民が行うhands only CPRはClass 1として推奨された.今回の症例から,医療関係者も感染防御具やBVM(bag-valve-mask)などの器具がない場合において,現場でhands only CPRを行い救急隊に引き継ぐことが非常に有効であることが示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.1521