難聴・糖尿病を伴うミトコンドリア心筋症による難治性心不全に心臓再同期療法を施行した1例

71歳,男性.30歳ごろより糖尿病(diabetes mellitus;DM)として加療中であり,感音性難聴の出現時に精査されミトコンドリア遺伝子異常を指摘された.心エコーでは,当初左室肥大を示すのみであったが,2009年ごろより左室駆出分画率(left ventricular ejection fraction;LVEF)低下も出現し,薬物治療が開始された.冠動脈病変はなく,心筋生検はミトコンドリア心筋症に矛盾しない所見であった.うっ血性心不全による入退院を繰り返し,2011年初頭にはβ遮断薬増量のためと考えられる洞機能障害が顕在化した.薬剤抵抗性のNYHA(New York Heart A...

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Veröffentlicht in:心臓 2012/11/15, Vol.44(11), pp.1387-1392
Hauptverfasser: 杉山, 裕章, 今井, 靖, 藤生, 克仁, 小室, 一成, 永井, 良三
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:71歳,男性.30歳ごろより糖尿病(diabetes mellitus;DM)として加療中であり,感音性難聴の出現時に精査されミトコンドリア遺伝子異常を指摘された.心エコーでは,当初左室肥大を示すのみであったが,2009年ごろより左室駆出分画率(left ventricular ejection fraction;LVEF)低下も出現し,薬物治療が開始された.冠動脈病変はなく,心筋生検はミトコンドリア心筋症に矛盾しない所見であった.うっ血性心不全による入退院を繰り返し,2011年初頭にはβ遮断薬増量のためと考えられる洞機能障害が顕在化した.薬剤抵抗性のNYHA(New York Heart Association)クラスⅢの心不全であり,QRS幅160ms(完全右脚ブロック),LVEF 27%であったことから心臓再同期療法(cardiac resynchronization therapy;CRT)適応ありと判断した.経静脈的リード留置術後,著明な自覚症状改善に加えて左室腔の縮小,LVEFの改善を認めた.現在までに難聴・糖尿病を呈するミトコンドリア病(maternally inherited deafness and diabetes;MIDD)に対するCRT適用の報告は見当たらず,一連の臨床経過に文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.1387