巨大瘤を伴った冠動脈瘻に対してコイル塞栓術を施行した1例

症例は,78歳,女性.主訴は労作時の胸部圧迫感で,運動負荷心電図で虚血性変化が認められた.冠動脈CTおよび冠動脈造影では器質的狭窄病変は認められなかったが,右冠動脈中枢部から肺動脈への瘻管が認められた.瘻管の起始は1 本であったが中間部に直径約20mmの瘤が形成され,瘻管の終端は多数の瘻管に分枝し肺動脈に交通していた.このため右冠動脈肺動脈瘻と診断したが,冠動脈瘻では症状のあるもの,虚血所見のあるもの,瘤を合併しその破裂の危険性があるものでは治療が必要とされている.本症例では症状や虚血所見があり,巨大な瘤を合併していたため治療が必要と考えられた.治療法として外科的手術とカテーテルによる治療があ...

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Veröffentlicht in:心臓 2012/10/15, Vol.44(10), pp.1317-1323
Hauptverfasser: 井出, 雄一郎, 伊藤, 一貴, 坪井宏樹, 長尾, 強志, 増田, 達郎, 中島, 崇太, 後藤, 隆利
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は,78歳,女性.主訴は労作時の胸部圧迫感で,運動負荷心電図で虚血性変化が認められた.冠動脈CTおよび冠動脈造影では器質的狭窄病変は認められなかったが,右冠動脈中枢部から肺動脈への瘻管が認められた.瘻管の起始は1 本であったが中間部に直径約20mmの瘤が形成され,瘻管の終端は多数の瘻管に分枝し肺動脈に交通していた.このため右冠動脈肺動脈瘻と診断したが,冠動脈瘻では症状のあるもの,虚血所見のあるもの,瘤を合併しその破裂の危険性があるものでは治療が必要とされている.本症例では症状や虚血所見があり,巨大な瘤を合併していたため治療が必要と考えられた.治療法として外科的手術とカテーテルによる治療があるが,カテーテル治療が選択された.瘻管の中枢部および末梢部をコイル塞栓する予定であったが,瘻管の屈曲が高度なため塞栓用マイクロカテーテルを瘻管の末梢部に進めることができなかった.このため瘻管の中枢部のみコイル塞栓したが,12本のコイルを使用することにより瘻管および冠動脈瘤は閉塞した.術中および術後も不整脈などの合併症はなく,心筋逸脱酵素値の上昇なども認められなかった.術後には胸部症状や心電図での虚血所見は消失した.瘤を合併した冠動脈瘻におけるコイル塞栓術の有用性が示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.1317