左冠動脈全体に及ぶ冠動脈解離をきたし,急性前壁心筋梗塞を発症した原発性冠動脈解離の1例

症例は,37歳,女性.2010年5月,胸痛が出現し,軽快増悪を繰り返していたが,その3日後に急性前壁心筋梗塞を発症し,救急搬送された.緊急冠動脈造影では,左冠動脈は全体的に狭小化して冠攣縮様にみえたが,血管内超音波では左冠動脈主幹部 (left main coronary trunk;LMT)より左冠動脈前下行枝 (left anterior descending artery;LAD)および左冠動脈回旋枝 (left circumflex artery;LCX)の末梢まで解離腔が認められ,冠動脈解離に伴う心筋梗塞と診断した.冠動脈解離の原因となり得る基礎疾患はなく,特発性冠動脈解離と考えた....

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Veröffentlicht in:心臓 2012/09/15, Vol.44(9), pp.1151-1157
Hauptverfasser: 高松, 寛人, 吉村, 裕子, 須賀, 俊博, 金子, 敦, 植田, 哲也, 間渕, 由紀夫, 井上, 雅浩, 飯島, 徹, 鈴木, 忠, 倉林, 正彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は,37歳,女性.2010年5月,胸痛が出現し,軽快増悪を繰り返していたが,その3日後に急性前壁心筋梗塞を発症し,救急搬送された.緊急冠動脈造影では,左冠動脈は全体的に狭小化して冠攣縮様にみえたが,血管内超音波では左冠動脈主幹部 (left main coronary trunk;LMT)より左冠動脈前下行枝 (left anterior descending artery;LAD)および左冠動脈回旋枝 (left circumflex artery;LCX)の末梢まで解離腔が認められ,冠動脈解離に伴う心筋梗塞と診断した.冠動脈解離の原因となり得る基礎疾患はなく,特発性冠動脈解離と考えた.経皮的冠動脈インターベンションを施行したが,LADは解離腔が残存し,後日の冠動脈造影でもLADは入口部から末梢まで解離腔が残存していた.前壁中隔の心尖部側は無収縮であったが,基部側およびLCX領域の壁運動は保たれ,循環動態は安定し,第49病日に退院となった.フォローアップ冠動脈CTでLADの偽腔は消失していたが,LADの末梢灌流も消失しており,心尖部は完全な心筋梗塞巣となっていた.発症より2年が経過するが,病状は安定し,職場復帰にいたっている.LMTからLADとLCXの末梢まで左冠動脈全体に解離を生じ,心筋梗塞を発症したが,ステント留置にて救命し得た特発性冠動脈解離の症例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.1151