膝窩部嚢腫性病変により間歇性跛行を生じた1例
間歇性跛行を呈する疾患の多くは, 脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症が原因であるが, 膝窩部の嚢腫性病変が原因となることもある. 今回, 膝窩動脈周囲の嚢腫性病変により膝窩動脈狭窄をきたし下肢症状を呈した比較的稀な症例を経験したので報告する. 症例は49歳, 男性. 歩行時に左下腿の痛みがあり近医を受診した. 500m歩行で左下腿の間歇性跛行が出現し当科へ紹介受診された. 足関節上腕血圧比(ankle brachial pressure index; ABI) , 下肢血管エコー, 下肢造影CTによる精査の結果, 左膝窩動脈狭窄性病変が疑われた. このため, 病変切除術と大伏在静脈を使用した血行再...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2012, Vol.44(7), pp.807-811 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 間歇性跛行を呈する疾患の多くは, 脊柱管狭窄症や閉塞性動脈硬化症が原因であるが, 膝窩部の嚢腫性病変が原因となることもある. 今回, 膝窩動脈周囲の嚢腫性病変により膝窩動脈狭窄をきたし下肢症状を呈した比較的稀な症例を経験したので報告する. 症例は49歳, 男性. 歩行時に左下腿の痛みがあり近医を受診した. 500m歩行で左下腿の間歇性跛行が出現し当科へ紹介受診された. 足関節上腕血圧比(ankle brachial pressure index; ABI) , 下肢血管エコー, 下肢造影CTによる精査の結果, 左膝窩動脈狭窄性病変が疑われた. このため, 病変切除術と大伏在静脈を使用した血行再建を予定し手術となった. 術中所見では, 膝窩動脈を全周性に取り囲む嚢腫性病変があり, この嚢腫病変によって膝窩動脈の狭窄をきたし, これが間歇性跛行の原因であることが判明した. これに対して, 血行再建せずに嚢腫切除のみで下肢血流の改善を認めた. 術後, 間歇性跛行は改善し術後7カ月経過しても下肢虚血症状はない. この経験を踏まえ, 下肢症状を呈する症例に対しては, 嚢腫性病変も下肢虚血症状の原因となり得ることを常に念頭におき, 注意深い診察と術前検査が必要であると考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.44.807 |