乳癌治療薬トラスツズマブ使用中に急性心不全をきたした1例

トラスツズマブは乳癌などに使用される分子標的薬(抗ヒトモノクローナル抗体)であり, 副作用として心毒性が知られているが, その頻度や機序などに関して不明な点が多い. 症例は, 41歳, 女性. 左乳癌に対して乳房温存術を施行され, 補助化学療法としてドキソルビシンに続いてトラスツズマブの投与を開始された. 全18回の投与のうち14回を経過した時点で本症例はうっ血性心不全を発症した. ドキソルビシンの総投与量は220mg/m2であり適正投与量であることから, 心不全の原因としてドキソルビシンとトラスツズマブの併用による心毒性が考えられた. トラスツズマブの投与中止および利尿薬内服にて心不全は速や...

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Veröffentlicht in:心臓 2012, Vol.44(6), pp.691-697
Hauptverfasser: 桂田, 健一, 市田, 勝, 長田, 淳, 新保, 昌久, 尾本, 和, 島田, 和幸, 苅尾, 七臣
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:トラスツズマブは乳癌などに使用される分子標的薬(抗ヒトモノクローナル抗体)であり, 副作用として心毒性が知られているが, その頻度や機序などに関して不明な点が多い. 症例は, 41歳, 女性. 左乳癌に対して乳房温存術を施行され, 補助化学療法としてドキソルビシンに続いてトラスツズマブの投与を開始された. 全18回の投与のうち14回を経過した時点で本症例はうっ血性心不全を発症した. ドキソルビシンの総投与量は220mg/m2であり適正投与量であることから, 心不全の原因としてドキソルビシンとトラスツズマブの併用による心毒性が考えられた. トラスツズマブの投与中止および利尿薬内服にて心不全は速やかに改善し, 現在β遮断薬を導入し経過観察中である. 今回われわれは, トラスツズマブの使用中に急性心不全をきたした1例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.691